歩道橋 詞曲 Yuki
歩道橋の上でいるはずもない
君がいると勘違い
隣りを見る
一人で笑ったよ
切ない苦笑い
寂しくなって嫌気が刺して苛付いてきて
石ころと一緒に何かを
放りたくて思いきり蹴った
歩道橋を下りて孤独に家に帰る
することはあっても
したくはないし
気が散ってしまう
そんな帰り道に十日ぶりの雨
傘なんてないし家まで遠いから濡れて帰ることになる
日常じゃ感じない何かが
込み上げてくるのが解った
忘れてしまいたくて雨の中を走る
いつから僕はこうなった
君がいないだけで何もかもがうまく行かない
何かが目から流れた
雨に濡れた野良猫
少し僕を睨んで
すぐに目を逸らして
無視して
通り過ぎる
悔しいから振り返る
既にもう猫はいない
その代わりに君に似た人が通り過ぎた
君であるはずがないのに
君だと信じたくて僕は追いかけた
忘れられなくて雨の中を走る
寒さにはもう慣れたけど
君がいてくれた頃
何もかもが温かかった
本当は……… 凍えているんだ
歩道橋に上ってその人を追いかける
気付いたみたいでほんの少し振り返った
「あぁ、やはり、そうだった。」
君であるはずがない
とっくに知っていたはずだろう
いつになれば忘れられる?君とはもう会えないのに
諦めきれなくて
歩道橋の上であの日の隣りの君の笑顔
想って、思い出していて
忘れられるはずがない
何よりも温かかった
何かが目から流れる
そのうちに雨はやんで
あたりも明るくなって
さっきの猫が機嫌良さ気に通り過ぎる
歩道橋の上でいるはずもない君がいると勘違い
何かが頬を伝う