第十回は「社長洋行記・続社長洋行記」(昭和37年・東宝)の2作品です。
例によって粗筋からですが、続き物ですが別作品なので分けて書くことにします。
【社長洋行記】
桜堂製薬の本田社長(森繁久彌)は
膏薬『サクランパス』がライバルの『椿バスター』に東南アジアで負けていることに不満を感じていた。
そこで、販売委託先に発破をかけようと宴会を催すも、喧嘩をしてしまい契約を解消する。
ならば自身で販路を開拓せんと、東海林営業部長(加東大介)、南秘書課長(小林圭樹)をつれ、香港へ渡る。
しかし初日の晩、本田は急病にかかり、東海林と南を残し、やむなく日本へ帰ってしまう。不安を覚える二人。
【続社長洋行記】
販路開拓のために案内役の坂田(フランキー堺)を頼んで香港商社を接待するも、まったく実らず。
そこで、南は大学の後輩で香港に住む柳宗之(洪洋)を頼る。
すると幸運なことに彼の妹柳英敏(尤敏)が大商事会社美麗公司の社長秘書をしていることが分かる。
南は、社長との面談を図る。
帰国して静養していた本田であったが、自分を年寄り扱いする家族と反発し、二度目の香港行きを決行。
またもやマダムと会った本田は二人きりになるためにダンスホールへ行く。
しかしそこには接待中の東海林や柳たちと一緒に来た南もいた。一変仕事場に変わったダンスホール。
しかし、結局失敗。美麗公司にのぞみをかける。
社長シリーズは東宝喜劇映画でも有名なシリーズです。
若い人は御存じない人も多いでしょうが(管理人も戸籍上は十分若いですが・・・)
近くにいる年上の人、大体45歳以上の人にお聞きになればご存知だと思います。
本作品での特筆すべきことは2点。
まず1点目は言葉です。ご存知の方もいらっしゃいましょうが、
森繁久彌は俳優になる前、NHKのアナウンサーをしており、中国支社に勤務していました。
有名な『森繁ルポ』なんてのもその時のものです。
それゆえに中国語には覚えがあり、作品中でもよく話しています。
また、小林圭樹も英語を話しますが、これもあまり聞くことができないものです。
2点目は加東大介の三枚目振りです。
典型的な日本の中年と言った役どころです。それを本当に上手く演じており、これは賞賛に値します。
よく笑わせてくれました。
また、当時は自由に渡航することは許されておらず、本作品中でもよく「外務省へ」という言葉が出てきます。
空港へ社員一同が集まり、手を振って見送りするといったことも
当時での外国へ行くと言う意味をよく表している様に思えます。
現在東宝よりDVDが発売されております。
2枚組み税込8,400円です。レコード屋さんかアマゾンなどで売っております
ちなみに私は大学の生協で買いました。他に大学生でこんなのを買う人がいるんだろうか・・・・。
少々高いですが、買って損する内容ではありません。余裕のある方は購入されてはいかがでしょうか。