第三回は阪東妻三郎主演「狐が呉れた赤ん坊」(昭和20年・大映)です。
まずは粗筋から。
阪妻演じる川越人足の張子の虎さんは正一位稲荷にて子供を拾う。
最初はまた捨ててくるだのなんだのといっていたが、次第に情が移り育てることになる。
子供はすくすくと育ち、なんとやら気品よく、年は下だが近所のガキ大将になっていた。
ある日、大名がその宿場へ本陣を張る。
同日の宴で虎さんが「子供は実はさる大名の落としだねなんだ。」とほらを吹く。
それが逗留中の大名に聞こえ、家老を始め検分に来る。
そして、本当に大名の御落胤ということが判明する。
子供を渡すか、それとも自分で育てようか、どちらが子供が幸せになるのだろうか。悩む虎さん。
ストーリー自体はオーソドックスなものですが、阪妻はじめ、役者の喜怒哀楽の演技が実にすばらしいです。
前半は喜劇的な感じで作られており、川越人足と駕籠屋の競り合いなど軽めに作られています。
後半は血のつながっていないとはいえ父親と息子の間の人間らしさがなんともいえません。
親子の情の物語が好きな方、ぜひ一度ご覧ください。