今でも『八丁堀の七人』など、奉行所ものの時代劇が放送されています。
同じ町方でも、青山久蔵は与力、鶴ちゃん扮する仏田八兵衛は同心、
八兵衛に事件を知らせてくる徳松は目明し(通称:岡っ引)と、様々な肩書きがついています。
今回はそういう日夜江戸の治安を守っている人々に焦点を当ててまいります。
与力
大別すると通常の「与力」と「内与力」2種類があります。
通常の「与力」とは、はじめから奉行所に勤めている与力のことで、俸給は幕府から出ています。
つまり幕臣、言うところの「御家人」が任される役職であります。
『八丁堀の七人』における、青山久蔵や黒澤左門も
以前に徒目付をしていたことから察するにこちらの与力だと思われます。
では、「内与力」とは何ぞやという話に移りましょう。
こちらは幕臣ではなく、町奉行となった旗本自身の家臣なのです。俸給もその御家から出ます。
ですから、町奉行が変わるごとにその顔ぶれも変わっていきます。
『八丁堀の七人』にはこの類の与力は出てきませんが、
例を挙げるとすれば「鬼平犯科帳」の佐嶋忠介なんかが「内与力」です。
同心
奉行所もので事件を捜査したり、盗賊を捕まえたりと
活躍する同心たちはいわゆる「定廻り同心」とよばれます。
『八丁堀の七人』では題名どおり7人(現在は6人ですが)の定廻り同心がいます。
彼らが毎日、市中見回りをしたり事件捜査や逮捕までやっているわけです。
しかし、この作品は実際とは少し違っている点があります。
それは、「7人もいる」ということです。
実際はこの定廻り、6人だったんですね。
ですから、一人余った八兵衛さんは物書きへ・・・、となっても不思議なことではありません。
(その後よく数えてみますと、「7人」とは
八兵衛ら同心6人と青山与力を合わせての7人であることに気づきました。
勘違いをしておりました。お詫びをして訂正いたします。 2006/2/20)
また、これに加えて同じような役目の「臨時廻り同心」というのが6人おりまして、
しめて12人で江戸の治安を守っていたのです。
100万都市の江戸で、いつもパトロールをしているのはたった12人だけだったのですね。
目明し(岡っ引、十手持ち etc)
よく、「〜の親分」などと呼ばれる人々です。
同心の手足となって事件を捜査する彼らですが、実は公的に認められていたわけではありません。
あくまでも同心個人の手足であって、いわば黙認状態といったところ。
奉行所から給金が出るとかいったことはまったくなく、
収入といえば、同心がたまに小遣いを呉れる程度だったそうです。
当然生活はやっていけませんので、
悪い目明しは商家に行ってせびったり、強請ってみたりいうことをしていた者もいたそうです。。
しかし、まっとうな目明しも当然いたわけで、そういう人は内職をしていたり、
女房にちょっとした店をやらせて生活費を賄っていたようです。
例えば『剣客商売』の徳次郎は傘張りを、弥七は女房に料理屋をやらせていますね。
さて、いかがでしたでしょうか?。
このような人たちのお蔭で江戸の治安は守られていたわけです。
また、そのお蔭で我々も結構な時代劇を見ることが出来ているのですね。
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