武士は「ござる」、町人は「ございます」、ではお公家さんはなんというのでしょうか。
そうです、「おじゃる」です。NHKのアニメでもなんやらやっていますね。
この「おじゃる」という言葉、実際に江戸時代の公家が使っていたかというと、そうではないのです。
今回は「おじゃる」に注目してお話をいたします。
では、最初に「おじゃる」という言葉が使われたのはいつなのかと申しますと、
それは、昭和53年(1978)に公開された『柳生一族の陰謀』の作中でございます。
この中で、公家役をした「梅津栄」という俳優が初めて使ったんだそうです。
昭和生まれの言葉なんですね。
この梅津栄さん、御存知の方も多いと思います。
今でもテレビなんかでお見かけすることがございますね。お爺さんです。
「おじゃる」という言葉を考案したのもこの梅津さんなのです。
その経緯ですが、
梅津さん、公家の役をやるというので図書館などに通われて、
公家について色々と調べられたそうです。
そうして解ったのが、「公家は歴史もあれば、プライドも高い。裏には武士に対する敵愾心がある。」
ということでありました。
そういうところを強調するために何か言葉を考えようと、
奥方様と考えられた結果、生み出されたのが「おじゃる」という言葉であったそうです。
苦心してひねり出した「おじゃる」を引っさげて撮影所に参りました。
そしてくだんの場面に差し掛かり、台詞です。
「〜でおじゃる」
真面目くさった顔で言ったものですから、一同大爆笑。
とはいえ、必要な場面ですので撮り直しをするのですが、
その台詞にかかるたびに笑ってしまい、撮影に苦労されたそうです。
映画自体は大ヒットし、ことに「おじゃる」も世間に一気に広まり、
一時、「おじゃるブーム」が起こったとか起こらなかったとか。
このようにして作られた「おじゃる」
これからもずっと使われていくことでしょう。
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