- 「胸はトキメイタか? 旗ははためいたか?」
旗を掲揚したいと思った。
空にはためく旗。ばさばさと音を立てながら翻る旗。
男のロマンだ。かつて男達は旗を巡って戦っていた歴史もある。
廃物利用にかけては定評(マイナス評価)のある俺だ。今回のきっかけは会社の
倉庫を引き上げた2003年に遡る。当時、廃材をアジトに運びこんでいたのだ。
アジトのガレージに。
ガレージとは車庫。つまり、車を入れる小屋であるはず。
しかし、それら廃材で車庫はいっぱいになった。03式運搬車、02式指揮車(セレナ
マーク2)は野ざらし駐車である。
廃材の中に丸太があった。
- 角材があった。
- 俺も若かった。
丸太を削り、鋳掛けで打ち込み土台とする。
これに角材を電動ドリル(ああ、なんていい響き。1997年に自費で購入した!)で木ねじを打ち込む。
滑車仕込みのにくいヤツ。全高2700mmの掲揚台が完成した。
旗!
- 肝心の旗がない。
2001年にもらった大漁旗を格納庫(ガレージ改め)で発見。
掲揚。
前述した。全高2700mmと。つまり、2.7mである。
風はある。旗もある。
結論。
旗ははためかなった。
- 俺はときめいたが、旗ははためかなかった。
高さが足りないのだ。
ロケットがその大きさを拡大したように、掲揚台は多段化された。
初号基 全高2.7m
二号基 全高3.6m *初号基に角材を継ぎ足した。
三号基に至る。
- その時、装置に盲点な機材を発見した。
のぼりのポールがあったのだ。
- 気が付かなかった。
- このポールも廃材であり、その数はすぐに地方選挙(市議会クラス)なら出馬出来るほどだ。
角材にポールを継ぎ足し、多段化に成功した。
全高5.4m。
風は応援してくれるかのごとく、強い。
大漁旗掲揚。
何を歌いながら揚げたら良いのか分からない。
- とりあえずアンパンマンのマーチを歌ってみた。
旗の掲揚のルールというものがある。
1.掲揚時、歌を歌いきったところで掲揚を完了すること。
2.旗は日中のみで、夜間は降ろすこと。
3.不幸があったときは、全てを揚げないで、低く掲揚すること。
大漁旗も色あせてきた2004年正月のことだ。
- 俺はまた廃材でビッグな獲物をゲットした。
Jリーグ、初期12チームのフラッグだ。
- こいつは綿の大漁旗とちがい、ポリエステル製で大きさの割りに軽量なのだ。
浦和レッズファンの俺はすかさず、掲揚した。
青い空に赤い旗がはためく。
俺はときめいた。子供の頃から夢見た「基地」の完成である。
このころになると、知恵もついた。
- 鉄パイプ&土台&のぼりポールの組み合わせで移動式旗台(いどうしきはただい)の開発に成功した。
旗の複数運用が可能になったのだ。
せっかくなので、5本ほど立ててみた。
- 国連本部のイメージで。
結果。オプション(自称嫁)にこっぴどく叱られた。
- 体裁が悪いんだってさ。
しかも近所のおばあさんが「あれは何?」て聞きに来た。
- さすがにまずいと思った。
- 「忍者さんちは何屋なの?」という地域住民の疑惑が発生してしまう。
こうして、庭に旗は、はためいた。
俺とオプション(自称・嫁)の間は、この一件でいっそう、ときめかなくなった。
俺はそれでも良いと思っている。
男のロマンは時として、代償を強いられるものだから。(やせ我慢?)
- 写真
- 「浦和と鹿島で糧食を取る占領軍の人々」
photo by 不詳・宮島
- 浦和レッズの旗が掲揚台に設置されている。
- 鹿島は移動式旗台を使用。掲揚台は「のぼり」ポール最上段より1m下
- で角材が支柱としてついている。この支柱にも滑車が取り付けられており、本部より電球
- のブローチ(屋台などにあるヤツ)を伸ばすことが可能である。この装置により、夜間での飲食が可能になった。
- インデックスへ戻る