- 「日本一長いレバ刺しへのラブレター」
- レバーと俺の確執は1980年代に遡る。
- ご幼少のみぎりの私の焼き肉環境は
- 「肉を喰いたければ、レバー(焼いたもの)を5個喰ってから」というルールがあり、
- その粘土のような食感にルサンチマンを抱いていた。
酒を楽しめる歳になり、焼き肉屋でレバ刺しと出会った。
- 最初に食べた感動は忘れられない。
スルッとした食感。ほのかな甘み。ごま油の風味。塩のアクセント。
古代ローマのアフロディーテのように俺を優しく包み込む食べ物。
- レバ刺し。
- しかし、レバ刺しは自宅でお気軽に、という食べ物ではなかった。
- そもそも生食用レバを売ってくれる肉屋がなかった。
- よって、焼き肉屋に行かねば食べられず
それが、俺にとってレバ刺しへの偏愛の度を高めることになったのだ。
運命の女神がいるとしたら、俺に微笑むことは少ない。
- または、意地の悪い笑い方であろう。
- O157事件の発生である。
- BSE問題の発生である。
- これを機に、なぜか焼き肉屋からレバ刺が消えた。
- もともと、あまりオーダーのないメニューだったのかもしれない。
- 腹が立つのが、メニューにはレバ刺しを明記しているのに、
- 頼むと「今日はありません」なんて抜かす店まで出てきたことだ。
- それを聞いて店を出ようとしたことは一度や二度ではない。
- また牛角や牛丸などのチェーンでは仕入れを一括で行うせいなのか、そもそもメニューに存在していない。
- アフロディーテと別れて、何ヶ月が経ったろうか。
- ある日、駅前で運命の女神は微笑んだ。
- それは何の気もなく、店の前を通りかかった時だ。
この区画は30mを置かずに、2件の焼き肉屋が軒を連ねている。
- じゅうじゅう亭と清香園だ。清香園が肉を小売りしていることを発見。
- おそるおそる、外からのぞくと「レバ刺し」の4文字が殴り書きで踊っている。
- こうして、清香園とのつきあいが始まった。レバ刺し100g、380円也。
イヤな事があったりすると通うようになった。(毎日行かねばならないほどだが)
一度、焼き肉を店内で食したが(変な表現だな)、うまいが高い。
- ネギが乗っただけのレバ刺しは780円に変身するのだ。
- セーラームーンがスーパーセーラームーンになるのと同じが如し?
- 考えてみれば、グラム380円の肉ってのも高い。
- ちなみに150gを独りで食べると、かなりキツイ。
- モノには限度、程度があると気が付いた34才であった。
- 最近、我が軍の財政状態が危ぶまれており、会計主任(俗名・嫁)の干渉
著しく、「無駄な買い物をするな」との叱責を受ける状態に陥っている。
- 昨日なんざ、喧嘩に発展し、新婚作戦(箸でアーン、て食べさせるヤツ)を発動。
効果なく(要らないって言われた)、我が軍は甚大なる被害を被った。
- 喧嘩が多くなったのはレバの鉄分で俺の血の気が多くなった証なのだろうか?