日常  ( By.カズさん )




朝。
早起きして朝食とお弁当を作る。
卵、レタス、ハム、塩じゃけ。その他いっぱいの材料。
おっと、お味噌も忘れちゃいけない。
おいしくたべてもらって、今日も元気にしてもらわなきゃね、往人さんには。
お味噌汁のいいにおいが台所に溢れてきた頃、往人さんを起こしに行く。
隣で寝てた時と同じ寝ぼけ顔。
本当、朝弱いんだから。
笑いながら熱いお茶を出す。これで目をぱっちりしてもらおう。
舌をやけどしたと怖い顔。慌てて冷たい水を汲む。

往人さんを送り出して洗濯。
今日はいい天気。買い物に出かけるまでには乾くよね。
それから部屋の掃除。
また家族が増えたら時間が倍くらいかかるかな?

お母さんが目を覚ます。
さっきの朝食と同じものを出すけど、相変わらずの二日酔い、食欲はないみたい。
こんなときは煎茶に限る。
熱いけど注意して、といいながらお茶を注ぐ。
お母さんは急いで飲んで慌しく家を出る。
掃除の残り。掃除機の唸り声だけが家に響く。
恐竜の鳴き声のように聞こえるのは私だけかな?

昼食は一人で食べる。
それだけは昔と変わらない。
どんなに力のこもった料理でも。
一人でつつくのは寂しい。

洗濯物を取り込んで買い物。
今日は鍋物にしようか。
温め直せばいつでも食べられるからお母さんにも食べてもらえるし。
でも往人さんいつ帰ってくるのかなあ。
一緒につついてあたたまりたいな。

材料を仕込んでテレビを見ている。
バラエティに飽きた頃、往人さんが帰ってきた。
今日もご苦労さま。
有難う。
さっそくお風呂の火種をつけに行く。

鍋はおいしい。
往人さんがいてくれておいしい。
今日も上出来。
私の顔を覗き込んで不思議そうな往人さん。
わたしは笑いながら白菜漬けに手を伸ばす。

それからふたりでテレビを見る。
飽きたらトランプ。
往人さんの弱さは昔から変わらない。
でも、私が唯一往人さんに勝てることだから。
ごめんね、往人さん。
飽きたといいながら付き合ってくれる。
それが嬉しい。

予定通りに遅れてお母さんが帰ってくる。
今日もご機嫌だ。
さっきのお鍋と、往人さんを肴に宴会が始まる。
私は退散・・・ってそれは無理だった。
明日の朝も不機嫌顔かな、往人さん。

布団に入る。
隣には往人さんの優しい寝顔。
往人さんは恥ずかしがったけど、私が望んだことだった。
往人さんの隣で寝ること。
往人さんのそばにいつもいたいから。
往人さんが私のいない間に飛んでっちゃうのは見たくないから。
私のたったひとつのわがまま。

変わりない日常。
1年間続く平凡な毎日。
でも。お母さんと。
往人さんが毎日私のそばにいる。
一人ぼっちの昔とは確かに違う幸せ。
これからも、いつまでも。


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