「山口砂金研究会」
錦川の砂金について
- はじめに
錦川上流の玖珂地区は玖珂層群と呼ばれる地層が広く分布し、主に黒色の頁岩やチャートからなっており、たい積した時期は、中生代三畳紀〜ジュラ紀と考え
られている。ここに中生代白亜紀に花崗岩質マグマが貫入、玖珂層群中に介在するレンズ状石灰岩との間で接触交代を起こし、タングステンや銅、鉛や亜鉛等の
鉱床を形成した。(スカルン鉱床または接触交代鉱床)このような鉱床の場合、元のマグマにはさまざまな金属を含んでおり、微量ではあるが金も含んでいる。
玖珂地区には藤ヶ谷鉱山や玖珂鉱山、喜和田鉱山など多くの鉱山が存在するが、すべてこのスカルン鉱床である。同様の鉱山は秋吉台周辺にも存在する。(長
登鉱山)
鉱床中に微量に存在する金が長期間の風化浸食により河川に流れ出したものが砂金である。何千年、何万年という長い歴史の中で、大雨や雪解け水により河川
が増水したときに砂金は流され、その比重の違いにより特定の地形にたまる。(砂金は比重が19、砂鉄は6〜7、他の岩石は2〜3)主に、河川蛇行の内側や
岩盤の割れ目や大きな石の周辺である。
また、金は他の鉱物と違い、金同士で固体のまま融合するという性質を持っている。つまり、非常に微細な砂金であっても、それがくっつき合うことにより大
きな砂金へと「成長」するのである。(現在はこの説が有力である。)
以上のようなことを総合的に判断すると、錦川においても砂金を採取することは可能と考えられる。また、玖珂鉱山からエレクトラムが産出したという記録も
ある。
- 調査地点
今回は南桑地区を中心に調査した。川の蛇行の内側で、さらに岩盤が露出している場所を探した結果、南桑下見錆あたりで発見。ここで資料の採取を行った。
- 調査方法
錦川流域は自然が多く残っており、陸上からのアクセスの困難な場所が多
い。したがって、
今回はカヌーを用いて水上からのアクセスを試みた。カヌーにのるのは同僚のI君です。
- 採取地点
上左写真が今回の採取地点である。ここは蛇行の内側に存在し、しかも岩盤が露出、割れ目も存在するという理想的な地点である。(写真中央部)
ここの岩盤は頁岩よりできており、ハンマーやバールで容易に破
砕できる。割れ目にたまった土砂をていねいに取り出しパンニングをする。
- 調査結果
今回の調査の結果、左写真のように少量ではあるが砂金を確認することができた。薄片状やひげ状のものが確認できた。
大きさについては1mm以下のものがすべてであるが、より多くの地点を調べることにより、更に大きなものが確認できると思われる。
- 考察
今回の調査は私立灘高等学校野村敏郎氏の砂金堆積理論(?)に基づき行ったもので、四国吉野川流域や関東地方の多くの河川で確認されていることが山口県
の錦川でも確認されるということが立証できた。鉱業的には成立しないが、趣味や教育の観点から見れば今回の調査結果は大いに意味があるといえる。
- 参考文献
山口県地学のガイド(コロナ社) 日本の地質7(共立出版)
錦川(根笠川)の砂金について
1、はじめに
根笠川は錦川にそそぐ支流で、上流部に玖珂鉱山を配している。河床には岩盤が露出している場所が多く、「寄せ
場」条件のそろった場所が多い。岩盤は変成岩(結晶片岩)よりなっており非常に硬く盤たたきをするには困難が伴うが、岩盤の割れ目は多数存在する。
2、採取地点
採取場所はムーバレーの少し下流であ
る。
3、採取結果
今回採取できた砂金は2個。大きさは1mmぐらいである。
4、考察
今回採取した砂金は本流のものと比べると、かなり大きい。これは水流による摩耗がすくないせいではないかと思わ
れる。砂金の絶対量が少なく、「砂金の成長」が起こりにくいために大きなものが発見できないのではないか。
ただ、「寄せ場」が発見できれば事情は一変するはずである。
(番外編)第2回ムーバレーカップ
1、はじめに
8月30日、第2回ムーバレーカップに山口砂金研究会会員4名が参加した。第2回の賞品は金のアクリル球、これ
を目指してみんながんばった。そのあとは、根笠川にて砂金掘り&カヌーで遊んだ。
楽しい一日でした。
