被爆者援護法の適用において遺伝的影響の科学的証明は不要である ─ 被爆二世集団訴訟 長崎 第6回口頭弁論 ─ |
2019年2月4日13時30分から,長崎地方裁判所で被爆二世集団訴訟第6回口頭弁論が行われた。原告側代理人は在間弁護団長の他3人が出廷し,1月31日に裁判所へ提出した「原告ら第3準備書面」を陳述した。その内容の第1は,「遺伝的影響の科学的証明は不要であること」である。被告の国は第2準備書面の中で「親の放射線被曝により被爆二世の健康に影響が生じることの立証責任は原告らにあるところ,原告らが示した研究結果等は,いずれも,これを示す科学的根拠とはいえない」などと述べ,いかにも,ヒトの放射線被曝による遺伝的影響について科学的「証明」が必要であると主張している。それに対して,準備書面では「原告らが求めているのは,被爆二世に対しても被爆者援護法と同様の援護を定める法の制定であり,援護法上の『被爆者』となるには,『原子爆弾の放射能の影響を受ける事情の下にあった』事実があれば足りるのであり,放射線被曝による健康影響が科学的に証明されていることが援護の根拠ではない。ヒトの放射線被曝による科学的「根拠」は必要であるとしても,科学的「証明」までは不要である」と主張し,被爆二世が「原子爆弾の放射能の影響を受けるような事情の下にある」ことは,原告らが示しているマウス等の動物実験結果およびヒトへの影響を示唆する研究結果等からすでに明らかであるとして,被告側からの反論に対して,反論を行っている。 その後,在間弁護団長は,裁判官を通して,援護法の趣旨から遺伝的影響の科学的「証明」は不要である,との原告側主張に対して,国に反論することを求めたところ,被告側代理人は,「持ち帰って検討する」と回答し,準備書面を提出するとすれば,連休明けになるとの見通しを示した。さらに,在間弁護団長は,引き続き被告側のこれまでの主張に対する反論の準備書面を提出する考えであると述べた。 その結果,次回(第7回)口頭弁論は5月21日(火)13時30分となり,準備書面の提出期限は5月10日(金)となった。裁判はこれから核心の議論へと入っていく。引き続き皆さんのご支援とご協力,傍聴等への参加をお願いします。 なお,広島の訴訟も全く同じ内容で進んでおり,次回(第8回)口頭弁論は5月14日(火)13時30分から広島地裁で行われる。 全国被爆二世団体連絡協議会会長 原爆被爆二世の援護を求める集団訴訟原告団長 崎山 昇 |
入廷する原告団 |
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