被爆二世(長崎)訴訟に対し最高裁が不当決定 最後まで闘い続ける |
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2024年3月11日に行った被爆二世(長崎)訴訟の上告・上告受理申立てに対し、最高裁第二小法廷が2025年1月12日、「上告を棄却する」「上告審として受理しない」という不当極まりない決定を示しました。それを受けて、全国被爆二世団体連絡協議会では1月28日に長崎市政記者室で記者発表を行い、原告団長と弁護団長の連名による「被爆二世(長崎)訴訟最高裁決定に対する声明」を発出しました。 その中で、今回の決定が「不当決定」であり、「断じて許されるものではない」、上告審が現在開始された段階にある広島訴訟において「改めて被爆二世に対する援護法の適用という重要問題について認識を新たにし、実質ある審理を行うことを強く求める」、また「裁判所の判断は、問題の解決は「立法府における合理的裁量に委ねられる」として、「原爆放射線による健康被害の可能性を否定できない被爆二世に対しいかなる援護がなされるべきか、という大きな課題が、今後は立法・行政に委ねられたと受け止めるべきである。」と指摘しました。その上で、「私たちはあくまでも、国の被爆二世に対する援護についてのこれまでの国の態度を根本的に改めさせるために、そして、世代を超えた“核”による人類への重大な影響を明らかにし、最終的には核兵器の廃絶を実現するために、最後まで闘い続ける所存である。」と今後に向けた決意を表明しました。 |
被爆二世(長崎)訴訟最高裁決定に対する声明 原告団長 崎 山 昇
弁護団長 弁護士 在 間 秀 和2025年1月22日、最高裁は、被爆二世(長崎)訴訟に対し、「上告を棄却する」「上告審として受理しない」という不当極まりない決定を示した。同訴訟の2024年2月29日の福岡高裁の不当判決に対し、私たちは同年3月11日に上告・上告受理申立を行っていた。この度の最高裁決定は、そのわずか10か月後に、実質的な理由を述べることもなく結論のみを示した不当決定というほかない。
私たちは、2017年2月に長崎地裁に本訴訟を提起して以降、原爆放射線による健康被害の遺伝的影響について科学的根拠を示し、被爆二世も被爆者援護法における被爆者として援護の対象とされるべきことを真摯に訴えてきた。ところが長崎地裁も福岡高裁も、私たちの訴えを否定するためだけの論を展開し、問題を正面から受け止めることなく訴えを退けてきた。最高裁が同じような姿勢で本訴訟に向き合ったことは断じて許されるものではない。
広島における被爆者の二世を原告とする同様の訴訟の上告審が現在開始された段階にある。私たちは、最高裁が、広島訴訟において改めて被爆二世に対する援護法の適用という重要問題について認識を新たにし、実質ある審理を行うことを強く求める。
この度の最高裁決定によって、厚労省は従前からの行政の対応が司法において最終的に是認されたと受け止めるかもしれない。しかしそれは大きな誤りである。私たちはこの度の訴訟において、被爆二世に対する援護がなされないことに対し、「憲法に反する立法不作為」という主張を行い国に対し賠償を求めてきた。これに対して示された裁判所の判断は、問題の解決は「立法における合理的裁量に委ねられている」として私たちの賠償請求を認めなかったというものである。
従ってこの度の最高裁決定は、原爆放射線による健康被害の可能性を否定できない被爆二世に対しいかなる援護がなされるべきか、という大きな課題が、今後は立法・行政に委ねられたと受け止められるべきである。
私たちはあくまでも、国の被爆二世に対する援護についてのこれまでの国の態度を根本的に改めさせるために、そして、世代を超えた“核”による人類への重大な影響を明らかにし、最終的には核兵器の廃絶を実現するために、最後まで闘いを続ける所存である。
2025年1月28日
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