活動報告

NPT再検討会議準備委員会への代表団派遣 報告
 今年4月23日(月)から5月4日(金)にかけて2020年NPT再検討会議に向けた第2回準備委員会がスイス・ジュネーヴの国連欧州本部で開かれた。全国被爆二世団体連絡協議会(以下,全国被爆二世協)では,4月29日(日)から5月6日(日)にかけて,初めて代表団を派遣し,4月30日(月)から5月4日(金)にかけて,被爆二世の人権保障と核廃絶を訴えるサイドイベントを開催するとともに,各国政府代表部との意見交換,サイドイベントへの参加,NGOとの交流,準備委員会の傍聴,国連人権高等弁務官事務所訪問などの活動を行った。

1 被爆二世は原爆放射線の遺伝的影響を否定できない核の被害者である。核被害による人権侵害の最たるものの一つが放射線の将来世代への影響であり,核と人類は共存できないとの認識に立ち,再び核被害者をつくらないために,核のない世界の実現のために,原爆による甚大な人権侵害としての放射線の将来世代への影響の問題を国際社会に訴えていくことが日本の被爆二世の使命であり,責務であると考え,核被害者である被爆二世として,被爆二世を含む核被害者の次の世代の人権保障と再び核被害者をつくらないために核廃絶を強く訴えることが,目的であった。

2 メンバーは,広島・長崎の被爆二世など5人だった。全国被爆二世協会会長:崎山 昇(長崎二世),同事務局長:平野克博(広島二世),広島県被爆二世団体連絡協議会事務局長:角田拓(広島二世),長崎被爆二世の会監事:門 更月(長崎二世),科学・医療アドバイザー:振津かつみ(兵庫医科大学非常勤講師)。      
 
3 具体的な活動は以下のとおり。
(1)全国被爆二世協として初めての参加であったが,これまでの取り組みをまとめ国連軍縮事務所へ文書で報告し参加を申請したところ,参加の承諾を得た。今後の国連関係の核軍縮活動の一歩となった。
(2)5月2日「ヒロシマ・ナガサキの被爆二世の訴え(声):核軍縮を推し進め,将来世代を含む核兵器被害者(ヒバクシャ)の人権を護るために」というテーマでサイドイベントを開催し,各国政府代表部やNGOから23人の参加があった。
(3)17カ国に面会の案内を出し,7カ国(日本,オーストラリア,カナダ,コスタリカ,オーストリア,スウェーデン,ニュージーランド)の政府代表部の外交官と意見交換を行い,被爆二世の人権保障を求める取り組みに理解と協力を求めるとともに,核兵器禁止条約への署名を要請した。
(4)NGOが開催する4つのサイドイベントに参加したが,特にバーゼル平和事務所と国際反核法律家協会が主催した「核兵器と人権法と将来世代」は,将来世代,継世代影響の人権問題について議論がされ興味深かった。
(5)アボリション2000創設者や女性国際自由平和連盟(WILPF)などNGOとの交流,意見交換を行い,今後の活動へ向けたアドバイスや協力を得た。
(6)準備委員会を傍聴したが,最終日には,会議の報告書は採択されたものの,議長まとめ報告書には大多数の国の意見が反映されていないとの意見が多く出されていた。
(7)国連人権高等弁務官事務所を訪れ,被爆二世の人権保障を実現するための国連人権理事会における今後の取り組みについてアドバイスを得た。

4 今回は初めての試みであったが,(1)国連で被爆二世の人権保障と併せて核軍縮・核廃絶に向けて活動する一歩となった,(2)将来世代の人権問題や核廃絶に取り組むNGOとの交流を深めることができ,今後の活動につながった,(3)被爆二世の人権保障に向けた今後の取り組みについてアドバイスや協力が得られた,ことが成果だった。

5 そして,核保有国が無視できないようにするために100か国以上の批准で核兵器禁止条約を発効させること,被爆二世・核被害者の次世代の人権保障と核廃絶を訴えていくとともに,どのように核廃絶に向けて運動を進めていくのかが,今後の課題である。
 
最後になりますが,サイドイベントの同時通訳をしていただいたクライン真澄さんに心から感謝します。

全国被爆二世団体連絡協議会 会長 崎山昇

サイドイベントでの派遣団メンバー
(左から振津,崎山,平野,角田,門)

国連の万国旗の前に立つ被爆二世たち
(左から平野,角田,門,崎山)
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