活動報告

「長崎原爆資料館の展示に関する提言」を提出
 9月15日、長崎県被爆二世の会では、原爆資料館の展示更新(見直し)について議論が重ねられているなか、長崎原爆資料館館長、同運営審議会会長、同運営審議会小委員長宛に「長崎原爆資料館の展示に関する提言」を提出しました。原爆資料館には、被爆の実相を後世へ伝え、核廃絶運動を継承していくために、次世代の育成につながるとともに、核廃絶のための国際連帯につながるような展示が必要であるとして、以下の内容について提言しました。
核兵器をめぐる国際情勢に関する展示に関して
(1)日本が敗戦後、核戦争に対する危機感から、当時の幣原喜重郎首相が日本国憲法9条(戦争放棄)を発案し、マッカーサーに提案し、天皇が承認したこと、幣原首相がどういう思いで提案したか、「平野文書」を踏まえつつ展示する。敗戦当時、日本が核戦争による世界滅亡をいかに防ぐか考えていたことは、敗戦後日本の原点であり、今に通じるものがある。
(2)広島で開催されたG7広島サミットにおける広島ビジョンでは「核抑止」を肯定することになったが、長崎大学核兵器廃絶研究センターなどの協力を得ながら、「核抑止」を否定し核廃絶へ向かうべきとの考え方を展示する。
(3)「核の平和利用」も核兵器同様脅威であることを展示する。
(4)広島ビジョンは分断と対立をあおるものとなってしまった。戦争をなくすことも、核をなくすことも対立していてはできないこと、友好、信頼の関係を築き皆でやらないとできないことを伝える展示とする。1985年米ソ間で「核戦争は許されない。そこに勝者はない」「お互いを敵とはみなさない」と初の核兵器削減が実現し、冷戦終結につながったことを展示する。
(5)日本も含めて核の傘にある国や核兵器保有国に核兵器禁止条約の批准を呼びかける展示をする。
被爆医療や放射線等に関する展示に関して
(1)核の人権侵害の最たるものの一つが、放射線の人体への影響であること、「核と人類は共存できない」ということを展示する。
(2)苦しみながら亡くなっていった広島、長崎の被爆者の方々のデータから、「低線量であっても線量に応じた健康に対するリスクがある」と推定される結果が示されていることを展示する。それを人の健康・生命を守るという立場から受け止め、原子力発電所事故などによる放射線被曝の危険性についても展示する。
(3)内部被ばくの影響について展示する。
(4)被爆二世に関しては、原爆放射線の遺伝的影響の可能性は否定できないことを展示する。動物実験(マウス実験)の結果から推察されたヒトの放射線による継世代影響や「原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)・2001年報告附属書「放射線の遺伝的影響・要約と結論」より」の見解を展示する。
原爆投下に至る歴史に関する展示に関して
(1)原爆投下に至る明治以降の日本のアジア侵略(植民地化)や侵略戦争について全体像を基本展示として展示する。日本の若い人は学校教育の中で日本の近現代史を十分には学んでおらず多くの人が過去の戦争で日本は被害者だったという間違った認識を持っている。
(2)若い人や海外から来られた人にわかりやすい展示にする。国際的に理解が得られるような内容にする。例えば、シンガポールでは「原爆のお陰で解放された」と、アウシュビッツでは「戦争への深い反省」が、展示されている。日本が行った戦争への深い反省がないと、理解が得られない。
その他
(1)形成過程も含め韓国・朝鮮人被爆者など在外被爆者について展示する。
(2)被爆二世のことも含めて被爆者課題について展示する。
(3)未来を見つめて、ユース代表団や高校生平和大使など若い世代の活動を展示する。
(4)強制連行され原爆死した中国人について展示する。

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