2002.4 花ちゃん、ジネズミを捕まえる
 我が家には猫が2匹いる。母猫は花ちゃん、その子どもは桃ちゃんと名付け、家庭の事情もあり
年間を通して外で放し飼いにしているせいかすこぶる元気である。

 花ちゃんはアメリカンショートヘアのきれいな猫である。家族には非常に人なつっこくて庭先で呼
んだらどこからかすぐに駆けつけてくる。食べるのが遅く、自分より大きくなった雄の桃ちゃんに食
事をすぐに横取りされてしまうし、よその雄猫には自分の縄張りの敷地内でさえ、我が物顔で闊歩
されてしまう。また、自分より大きなものについては意気地がなく、池に来るサギには近寄ろうとも
しない。
            

 しかし、見かけによらず野性的で敏捷なところがあり、バッタやトカゲ、カエルやヤモリ、さらには
ヒヨドリなどを捕まえて遊ぶ。特に、ネズミが大好きで、夜、家の近くのどこかでちっちゃなのを捕ま
えると、「どうだい、捕ったよ。見てちょうだい」と言わんばかりに、「フゴー、フゴー」といつもと違った
誇らしげな鳴き方で居間に向かって呼び立てる。家族の誰かが見てやると安心してやおら、そこで
遊び始めるのである。

 つい最近も、捕ってきた。翌朝見てみると、普通は食べてしまってほとんど跡形もないところだが、
今回はなぜかこの小動物の体がまるまるきれいに残っている。よく見ると体や手足は確かにネズミ
であるが、口まわりは細長くとがっていてモグラみたいである。かといって、あのモグラ特有のグロ
ーブみたいな頑丈な手足にはほど遠く、非常にか細い形をしている。

             

 図鑑で調べてみると、どうも「ジネズミ」らしくモグラと同じ食虫目に分類されるとあり、ものをかじっ
て食べるネズミとは違うようである。さすがに、猫ももぐらの仲間は食べないのかもしれない。

 猫たちも、寝るときは家族が集まる居間のすぐ外側にある寝床に戻ってくるので、みんなが窓を開
けては、なでたり、話しかけたり、宙ぶらりんに抱き上げて遊んだりししてスキンシップを図り、人間も
猫もお互いに癒し癒されている日々である。              戻る