1999.12 今年の松茸だより
松茸は、アカマツの生えたやせ土のところに出てきます。そうした一定条件のところにいわゆる「シロ」をつくっていくので、松茸が出る場所は決まっております。また、秋に向けて朝晩の温度がグンと冷え込みだしてから発生する(土中の温度が19度くらいに下がると、きのこを形成しはじめるといわれる)ため、出る時期も地域でだいたい決まっております。この地域では、広島県の方が先に出始め、それから山口県で出始めます。
今は、環境問題や松食い虫による松枯により、松茸の産出量は昔に比べてグンと落ちております。また、その発生量は、毎年の気候にも大きく影響し、この地域では、平成5年の冷夏長雨の時は大豊作、平成6年の干ばつの時は大不作となっております。
我が家の松茸は、山奥のいわゆる松茸山で発生しますが、そんなに多くは出ません。毎年、きちんと出るように適度にシダを刈り払い、枯れ木や落ち葉を除くという作業をやっております。しかし、毎年太い松が枯れていっておりちょっと心配なところです。
今年の秋の天候は、全国各地で平均気温が戦後最高値となったように、こちらでもいつまでも暖かい状況でした。このため、秋の冷え込みが遅れ、出始めが例年より10日ぐらい遅くなりました。しかし、遅く出始めた分、逆に遅くまで採れ、結局、終わってみれば、採れた総量は例年並みとなりました。
気温が高いと、虫とかムカデとかが、松茸をかじったりするので、茎を輪切りにしたり縦切りにしたとき、茶色と白のまだら模様になってしまいます。虫が活動できない程度に寒くなると真っ白なきれいな松茸が採れます。
傘開きの松茸は、焼いて酢ダイダイの醤油で食べると、香りの良いソフトな噛みざわりが楽しめます。