10−8カルボン酸
 
鎖状炭化水素の水素原子Hをカルボキシル基 -COOH で置換した形の化合物です。(Rは炭化水素の基)
1分子中にカルボキシル基が1個含まれていれば、モノカルボン酸、2個含まれていれば、時カルボン酸といいます。
 
10−8−1 共通性質 ・低級のものは刺激臭の液体。水に可溶。
     ・高級のものは固体。水に不溶。
     ・水に溶けるものは電離して弱酸性
      ・アルコール、エーテルによく溶ける。
      ・金属塩やエステルを作る。
 
10−8−2 ギ酸 最も簡単なモノカルボン酸です。
  存在 ハチ、イラクサ等の毒腺
  ・ホルムアルデヒドの酸化により生じる。

  性質 ・無色、刺激臭の液体。
     ・水によく溶け酸性
     ・還元性がある。(酸性でありしかも還元性があるのはギ酸だけ)

赤線内はアルデヒド基 黒線内はカルボキシル基

 

ギ酸は濃硫酸で脱水すると一酸化炭素を発生する。
HCOOH → H2O + CO
 
10−8−3 酢酸
  製法 ・木材の乾留
     ・エタノールの酢酸発酵
     ・エタノールの酸化

  性質 ・無色、刺激臭の液体。
     ・水によく溶け弱酸性。
     ・濃度の高いものは融点が高く、冬季に凍りやすいので、氷酢酸
いいます。
濃度% 100 98 96 94
融点℃ 16.6 12 8 1
 
用途 食酢(3%含まれている)、溶剤、各種化学工業の原料。
 
10−8−4 無水酢酸
  酢酸2分子から水分子を濃硫酸で脱水して得られる化合物です。
  注意 氷酢酸と混同しないように。
 
10−8−5 ヒドロキシ酸
  1分子中に -OHヒドロキシ基、と-COOHカルボキシル基をもつ化合物で乳酸、酒石酸、サリチル酸等があります。乳酸は光学異性体のところでまた説明が出てきます。乳酸は1つの炭素原子に-H水素原子、-OHヒドロキシ基、-CH3メチル基、-COOHカルボキシル基が結合した化合物です。
乳酸
 
10−8−6 シュウ酸 最も簡単なジカルボン酸。
  HOOC-COOH 精製が容易なので、2水和物は中和滴定、酸化還元滴定の標準溶液として用いられる。
 
10−8−7 マレイン酸とフマル酸 HOOC-CH=CH-COOH

マレイン酸(シス型)

性質 ・柱状または粒状の大きな結晶

・水に溶け強酸性 融点 130.5℃

・約160℃に加熱すると無水マレイン酸に変化する。

 

フマル酸(トランス型)

性質 ・脱水しにくい。

・針状微細な結晶

・水に難溶 弱酸性

・283℃で昇華する。

 
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