10−9エステル
10−9−1エステル化反応
カルボン酸のカルボキシル基とアルコールのヒドロキシ基が脱水縮合して生成化合物をエステルといいます。そしてこの反応をエステル化反応といいます。
カルボン酸 + アルコール → エステル+ 水(触媒:濃硫酸)
茶色の部分をエステル結合といいます。
10−9−2 加水分解
エステルに希酸を加えると逆向きの反応が起こり、カルボン酸とアルコールが生成します。この逆向きの反応を加水分解といいます。
また強塩基を加えるとカルボン酸の塩とアルコールが生成します。この反応をけん化といいます。R-COO-R' + NaOH → R-COONa + R'-OH
共通性質 ・低級なものは液体で快香がある。
・高級なものは固体。
・水に不溶、比重は水より小さい。
名称 酸系−アルコール系とつける。
例 酢酸(CH3COOH)+エタノール(CH3CH2OH)→
酢酸エチル(CH3COOCH2CH3)リンゴ臭
低級なエステルは果実臭をしたものが多い。しかし果実にエステルが存在しているのではない。
実験室でエステルを合成したとき、果実臭とは全く異なる臭いがする。しかし翌日実験室にはいると、かすかな果実臭がする。どうも人間の臭覚は濃度が濃いときと薄いときとでは感じ方が違うようです。
10−9−3 油脂
油脂はグリセリンと高級脂肪酸(高級アルコール)とのエステルです。
高級脂肪酸の部分は炭素数が15〜17、飽和のもの・不飽和のもの多くの種類があります。炭素数が少ないか、不飽和のものは融点が低く常温で液体ですが、炭素数が多くしかも飽和のものは融点が高く固体です。動植物の体内に含まれている油脂は種々の油脂が混合しています。
油脂を水酸化ナトリウムでけん化すると石けんが得られます。
油脂 + 水酸化ナトリウム → グリセリン+石けん
石けんの欠点 身辺を清潔にするための必需品ですが、次のような欠点があります。
その1カルボン酸のナトリウム塩は弱酸の塩ですからその水溶液は塩基性を示します。(塩の加水分解を参照)そのため石けん液が目に入ると痛くなったり、動物性繊維を洗濯したら傷めてしまいます。
その2 硬水(水の中にカルシウムイオンやマグネシウムイオンを含む)では水に不溶の金属塩を作り、石けんとしての洗浄力が無くなります。また海水には溶けないので、使用できません。
10−3−4 合成洗剤
高級アルコールを硫酸と反応させ、を作ります。
アルキル硫酸に水酸化ナトリウムを作用させアルキル硫酸のナトリウム塩を生成します。
これは合成洗剤と呼ばれ、硬水や海水でも使用できます。合成洗剤にはその他アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムもあります。
石けん、合成洗剤については化学Uでも学習します。