11−1 芳香族化合物とは
11−1−1 芳香族化合物とは
アロマセラピー(aromatic therapy)ということを知っていますか。良い香りをかいで心身をリラックスさせることです。芳香族化合物はアロマ化合物と訳せるのですが、良い匂いをもつ化合物が多いです。でも長時間かいでいると慢性中毒を起こす物が多いので注意しましょう。短時間なら大丈夫です。
11−1−2 ベンゼン環について。
芳香族化合物はC6H6で構成される環状の化合物です。その構造は写真のように炭素原子が交互に単結合と二重結合で結合して環状になっています。
この構造で炭素原子間の距離が単結合のところはアルカンと同じであり、二重結合のと
ころはアルケンと同じであれば、いびつな六角形構造になります。ところが実際のベンゼンは炭素原子間の距離は全部同じになっており、その距離はアルカンとアルケンの中
間の値で正六角形構造なのです。下にその値の数値を示します。×10-10m
アルカン |
ベンゼン |
アルケン |
1.54 |
1.40 |
1.34 |
11−1−3 ベンゼン環の反応
アルカンの反応は置換反応を起こす。アルケンの反応は付加反応を起こすのが特徴でした。ところがベンゼン環は付加反応が起きにくく、それより置換反応の方が起きやすいのです。(重要)
また2置換体ができたとき、単結合の両側に入った場合と二重結合の両側に入った場合は同じ化合物で、異性体ではありません。(重要)
これらのことから、ベンゼン環の二重結合を構成している共有電子は6個の炭素原子全体に分布していると考えられています。
11−2−4 ベンゼン環の構造式
ベンゼンの構造式は第1図のようになります。 第1図
しかし普通は第2図のように省略した形で書きます。第2図
六角形のそれぞれの角のところに炭素原子と、水素原子が存在しているのです。
六角形は縦に書いてももちろん同じことです。