11−5 芳香族カルボン酸
・ベンゼン環は安定で酸化されにくいが、側鎖は酸化されてカルボキシル基-COOHになりやすい。
・ベンゼン環にカルボキシル基が結合した形の化合物を芳香族カルボン酸という。
共通性質 ・室温で固体 ・冷水に溶けにくい ・温水に溶けて弱酸性を示す。
     ・塩基と反応して塩をつくる。
 
11−5−1 安息香酸 C6H5-COOH 融点123℃
トルエンを酸化すると得られる。
性質 ・冷水には溶けにくいが、熱水には溶ける。
   ・アルカリ水溶液により塩をつくり溶ける。
用途 ・防腐剤・合成樹脂や染料の原料
 
11−5−2 フタル酸C6H4(COOH)2
ベンゼン環にカルボキシル基が2つ結合したジカルボン酸である。
オルト・メタ・パラの3種の異性体がある。
 ・フタル酸 融点234℃ オルトキシレンを酸化すると得られる。
フタル酸は熱すると水分子がとれて無水フタル酸になる。
  無水フタル酸は染料や合成樹脂の原料
 
 ・イソフタル酸
 
・テレフタル酸 パラキシレンを酸化すると得られる。
エチレングリコール(2価のアルコール)とエステル結合により、縮合重合したポリエチレンテレフタレートができる。これはペットと呼ばれ、合成繊維や合成樹脂(ペッボトル)として使用されている。
 nHO-CH2-CH2-OH + nHOOC-C6H4-COOH
     → H(-O-(CH2)-O-CO-C6H4-CO-)n-OH
 
11−5−3 サリチル酸 C6H4(OH)COOH 融点-8℃
製法 ナトリウムフェノキシドと二酸化炭素を125℃、4〜5atmで反応させ、サリチル酸ナトリウムが生成する。これに希硫酸を作用させるとサリチル酸が得られる。
性質 ・無色の針状結晶 ・塩化鉄(V)水溶液により、赤紫色を呈する。
・カルボキシル基が、アルコールと反応し、エステルが生成する。
 サリチル酸 + メタノール(触媒:濃硫酸) → サリチル酸メチル(融点-1℃)
芳香のある無色の液体。鎮痛消炎剤
 
・ヒドロキシ基が、酸と反応し、エステルが生成する。
  サリチル酸 + 無水酢酸 → アセチルサリチル酸(融点135℃)
  無色の結晶。解熱剤・鎮痛剤
 
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