3−1 化学式(組成式)について
化学式とは元素記号を使って物質を表したものをいいます。化学反応式と混同しないようにしてください。化学式には次のようなものがあります。
組成式
物質が金属結晶とイオン結晶のときに使います。イオン結晶は陽イオンと陰イオンが多数集まってできています。したがって陽イオンの数と、陰イオンの数を記録することは不可能に近いし、無意味です。したがって構成している陽イオンの数と陰イオンの数の比を元素記号の右下に記録するようにします。式は例外もありますが、普通は陽イオンを前に書き、陰イオンをその後に書くことになっています。数値が1のときは書くことを省略します。
例1 塩化ナトリウムは NaClと記録します。これは Na+ イオンの数とCl- イオンの数の比が 1:1であることを表しています。
例2 Fe2S3はFe3+ イオンの数とS2- イオンの数の比が 2:3であることを表しています。こうしてプラスの総電荷数は+3×2となり、マイナスの総電荷数は−2×3で、電気的に中性の状態になるのです。
イオンが原子団のときは原子団を( )で囲み、( )の後ろ下に原子団の数を書きます。
注意1 イオン価をそのまま書く人がいます。硫化鉄(V)を Fe3S2と書くことは間違いになります。
注意2 イオンが原子団のとき間違える人が多いので注意してください。
水酸化ナトリウム 正 NaOH 誤 Na(OH)
水酸化カルシウム 正 Ca(OH)2 誤 CaOH2