5−3 化学反応式の係数の意味
 
5−3−1 化学反応式の係数の意味
 単体の水素と窒素は2原子分子です。またアンモニア分子は水素原子3個と素原子1個からできています。水素と窒素からアンモニアが生成する変化を構造式で示すと、反応の前後で各原子の数は変わりませんから、次のようになります。
  H-H        H-N-H  H-N-H
  H-H + N≡N →  |     |
  H-H          H     H
 
水素3分子と窒素1分子が反応して、アンモニア2分子が生成します。この変化を普通次のように書きます。
  3H2 + N22NH3
各分子の前の数を係数といいます。係数が1のときは記入しない。
意味1このように係数は分子数を表します。
 
仮に水素分子が150個あったとします。過不足なく反応する窒素分子の数は50個で、生成するアンモニアの数は100個になります。
各分子数の比を考えると
  水素:窒素:アンモニア=150:50:100=3:1:2
意味2 係数は分子数比を表します。
 
次に水素分子が6.02×1023×3個あると反応・生成する窒素とアンモニアの数は、6.02×1023個と6.02×1023×2個となります。
原子や分子が6.02×1023個あるときその量をまとめて1molといいます。
つまり水素3molと窒素1molが反応するとアンモニアが2mol生成することになります。
意味3 係数は物質量(モル数)を表します。
 
気体1molは標準状態(0℃,1atm)で物質の種類に関係なく22.4l です。
したがって体積比は
水素:窒素:アンモニア=22.4×3:22.4:22.4×2=3:1:2
意味4 気体の場合係数は体積比を表します。
 
各原子の原子量はH=1,N=14です。物質1molの質量は分子量gですから水素3molは2×3g、窒素1molは28g、アンモニア2molは17×2gの割合で反応します。
まとめると水素6gと窒素28gが反応して、アンモニア34gが生成します。
意味5 係数から反応物質・生成物質質量関係が求められます。
 
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