7−4 水の電離、水素イオン濃度、PH
7−4−1定義
水は極僅かですが、次のように電離しています。
H2O + H2O →← H3O+ + OH- →← は反応が両方に進むことを表している。
略記 H2O →← H+ + OH- (普通はこの形式で考える)
水素イオン濃度 1リットル中の水素イオンのモル数 [H+ ]
水酸化物イオン濃度 1リットル中の水酸化物イオンのモル数 [OH- ]
注意 括弧は( )と書かないように
7−4−2 水のイオン積
25℃で純水・酸の溶液・塩基の溶液の水素イオン濃度と水酸化物イオン濃度の間には次の関係がある。
純水のとき [H+ ]=[OH- ]=10-7 (mol/l)
酸の溶液のとき [H+ ]>[OH- ]
塩基の溶液のとき [H+ ]<[OH- ]
[H+ ]×[OH- ]= 10-14 (mol/l)2
この公式から次のような表ができる。
溶液が酸性のとき
[H+ ] 100 10-1 10-2 10-3 10-4 10-5 10-6 10-7
[OH- ] 10-14 10-13 10-12 10-11 10-10 10-9 10-8 10-7
溶液が塩基性のとき
[H+ ] 10-7 10-8 10-9 10-10 10-11 10-12 10-13 10-14
[OH- ] 10-7 10-6 10-5 10-4 10-3 10-2 10-1 100
注意 指数が負数のときの解釈を、よく理解する必要がある。
水溶液が [H+ ]=[OH- ]=10-7 の状態になったときを中性という。
7−4−3 PH
水素イオン濃度の指数の絶対値を PH ピーエイチ(専門家はペーハー)という。 [H+ ]=10-PH
具体的説明1
溶液が酸性のとき
[H+ ] 100 10-1 10-2 10-3 10-4 10-5 10-6 10-7
PH 0 1 2 3 4 5 6 7
溶液が塩基性のとき
[H+ ] 10-7 10-8 10-9 10-10 10-11 10-12 10-13 10-14
PH 7 8 9 10 11 12 13 14
具体的説明2
PHの値が7より小さいときは酸性溶液。
PHの値が7になったときは中性。
PHの値が7より大きいときは塩基性溶液。
具体的説明3
PHの値が1大きくなると[H+ ]の値は1/10倍になり、[OH- ]の値は10倍になる。
具体的説明4
酸性溶液を純水で体積を10倍に薄めると、PHの値は1大きくなる。
塩基性溶液を純水で体積を10倍に薄めると、PHの値は1小さくなる。
注意 PHの値が7に近いときは、この説明は成り立たない。
PH=5の溶液の体積を純水で体積を100倍に薄めると、PHの値は6〜7の間になる。なぜなら純粋の水のPH=7の水で薄めるのだから、7をこえて8になるようなことはない。
7−4−4 日常生活とPH
身の回りにある主なもののPHは次の通りである。
人体関係 胃液 1.0 人の血液 7.35 唾液 6.8
食品関係 食酢 3.1-3.5 酒 4.1-4.2 しょうゆ 4.7-4.8 牛乳 6.6-7.6
果物関係 レモン 2.3 オレンジ 3.5 リンゴ 3.7 トマト 4.2 バナナ 4.6
美味しい酸味は 4−5