7−6 塩の種類と性質
7−6−1 塩の種類
塩には 正塩、酸性塩、塩基性塩 がある。
正塩 化学式の中にH もOHも含まれていないもの。
NaCl, Na2CO3, Ca(NO3)2 , CuSO4
酸性塩 化学式の中にH が含まれているもの。
NaHSO4 硫酸水素ナトリウム、 NaHCO3 炭酸水素ナトリウム、
塩基性塩 化学式の中にOH が含まれているもの。
MgCl(OH) 塩化水素マグネシウム、CuCl(OH) 塩化水素銅
注意 酸性塩、塩基性塩とは化学式の中にH、OHが含まれていることを表しているのみで、その性質を表しているものではない。
7−6−2 塩と水の反応。次の3つのタイプがある。
その1 塩をつくっている酸と塩基の組み合わせが、強酸−強塩基のとき
反応は起こらず、溶液は中性を示す。
例 NaCl, Ca(NO3)2, K2SO4, 等
その2 塩をつくっている酸と塩基の組み合わせが、強酸−弱塩基のとき
塩は水と反応して溶液は酸性を示す。
塩は水に溶けるとイオン状態になる。その陽イオンと水が反応する。
CuSO4の場合 (Cu2+ + SO42-) + 2H2O → Cu(OH)2 + 2H+ + SO42-
Cu2+ + 2H2O → Cu(OH)2 + 2H+
Al2(SO4)3の場合 (2Al3+ + 3SO42-) + 6H2O → 2Al(OH)3 + 6H+ + 3SO42-
2Al3+ + 6H2O → 2Al(OH)3 + 6H+
その3 塩をつくっている酸と塩基の組み合わせが、弱酸−強塩基のとき
塩は水と反応して溶液は塩基性を示す。
塩は水に溶けるとイオン状態になる。その陰イオンと水が反応する。
CH3COONa の場合 (CH3COO- + Na+) + H2O → CH3COOH + Na+ + OH-
CH3COO- + H2O → CH3COOH + OH-
その2、その3のように塩が水に溶けて酸性または塩基性を示す反応を塩の加水分解という。
注意 中性と中和とは言葉の定義が異なるので、しっかり理解しよう。
7−2−3 注意すべき反応
1 Na2SO4 の水溶液
強酸・強塩基の組み合わせでできた塩なので、加水分解せず、水溶液は中性
2 NaHSO4
次のように電離し、H+ を生じ、水溶液は酸性
NaHSO4 → Na+ + H+ + SO4 2-
3 Na2CO3 の水溶液
弱酸・強塩基の組み合わせでできた塩なので、加水分解し、水溶液は塩基性
(2Na+ + CO32-) + 2H2O → 2Na+ + 2OH- + H2CO3
4 NaHCO3 の水溶液
酸性塩であるが、次のように電離し塩基性を示す。
(Na+ + HCO3- ) + H2O → Na+ + OH- + H2CO3
7−6−4 錯塩について
金属イオンにいくつかの分子やイオンが結合してできるイオン。
[Ag(NH3)2]+ [Fe(CN)6]3- 等 詳細はそれぞれの金属のところで説明します。