8 酸化・還元 とは何か
第1の定義
酸化 物質が酸素と化合する反応。生成した物質を酸化物という。
還元 酸化物が酸素を失う反応。
例1 2CuO + C → 2Cu + CO2
C[炭素]は酸素と化合して、CO2 [二酸化炭素]に変化しているので酸化反応
CuO[酸化銅(U)]は酸素を失って、Cu[銅]に変化しているので還元反応
このように酸化反応と還元反応は、必ず同時に起き、酸化反応だけとか還元反応だけが、単独で起こることはありません。しかし理解を容易にするため、酸化反応だけを考えたり還元反応だけを考えることが必要なときがあります。
例2 H2S + H2O2 → 2H2O + S
この反応は次のように考えます。
H2O2 → H2O + (O) H2O2 [過酸化水素]は酸素を失っているので還元反応。
H2S + (O) → H2O + S H2S [硫化水素]は酸素と化合しているので酸化反応。
この反応に対し、別の考察をします。
H2S → 2(H) + S H2S は水素を失っている。
H2O2 + 2(H) → 2H2O H2O2 は水素と化合している。
この考察から次のような定義ができます。
第2の定義
酸化 物質が水素を失う反応
還元 物質が水素を得る反応
例3 2HI + Cl2 → I2 + 2HCl
HI [ヨウ化水素]は水素を失っているので酸化反応
Cl2 [塩素]は水素と化合しているので還元反応
このように酸素が関係していない反応でも、酸化・還元の判断ができます。
この反応をイオン式で表すと次のようになります。
2(H+ + I-) + Cl2 → I2 + 2(H+ + Cl-)
この変化は 2H+ → 2H+ 変化なし
2I- → I2 + 2e-
2個のヨウ化物イオンは電子を失って1個のヨウ素分子となっている。
Cl2 + 2e- → 2Cl-
1個の塩素分子は電子を得て2個の塩化物イオンとなっている。
第3の定義
酸化 原子・イオン・分子が電子を失う反応
還元 原子・イオン・分子が電子を得る反応
例4 Fe2+ → Fe3+ + e- 酸化反応
このように酸素も水素も関係していない反応でも、酸化・還元の判断ができます。
例3 2HI + Cl2 → I2 + 2HCl
この反応の各原子の酸化数の変化を考えます、。
H +1 → +1 変化なし。
I -1 → 0 増加 (ヨウ素原子)
Cl 0 → -1 減少 (塩素原子)
この考察から次のような定義ができます。
第4の定義
酸化 原子・イオンの酸化数が増加する変化
還元 原子・イオンの酸化数が増加する変化