8−3 金属のイオン化傾向
8−3−1 単体の金属は電子を失って陽イオンになる。
容易に電子を失って陽イオンになりやすいものと、その反対に電子を失いにくく陽イオンになりにくいものがある。陽イオンになりやすいものから順に並べると次のようになる。
K Ca Na Mg Al Zn Fe Ni Sn Pb (H) Cu Hg Ag Pt Au
大 ← イオン化傾向 → 小
なりやすい ← 陽イオンに → なりにくい
されやすい ← 酸化 → しにくい
しにくい ← 還元 → されやすい
大 ← 化学反応性 → 小
表現は異なるが、化学的内容は同じことです。
順序正しく記憶するのは大変ですが、重要なので頑張りましょう。
8−3−2 金属のイオン化傾向と反応性
K Ca Na 常温で空気中の水蒸気や酸素と直接反応する。
4Na + O2 → 2Na2O(酸化ナトリウム)
NaO はすぐ水蒸気と反応して、NaOHに変化する。
Mg Al 加熱すると燃焼する。
2Mg + O2 → 2MgO(酸化マグネシウム)
Zn Fe Ni Sn Pb 酸と反応し、水素を発生する。
Zn + H2SO4 → ZnSO4 + H2
Cu Hg Ag 酸化力のある酸(硝酸・熱濃硫酸)と反応する。
濃硝酸 Cu + 4HNO3 → Cu(NO3 )2 + 2NO2 + 2H2O
希硝酸 3Cu + 8HNO3 → 3Cu(NO3 )2 + 2NO + 4H2O
熱濃硫酸 Cu + 2H2SO4 → CuSO4 + SO2 + 2H2O
Pt Au 反応を起こさない。
(王水には溶ける)
[体積比で濃硝酸1:濃塩酸3の混合物]
8−3−3 金属イオンと金属の反応
イオン化傾向の小さい金属のイオンを含む溶液にイオン化傾向の大きい金属の単体を入れると、イオン化傾向の小さい金属の単体が析出し、イオン化傾向の大きい金属のイオンが溶液にできる。
例 Cu2+ + Fe → Cu + Fe2+
2Ag+ + Cu → 2Ag + Cu2+