8−7 電気分解と工業
電気分解の技術が各種の化学工業に応用されている。次にその代表を記します。
化学反応式は両極の電子数を揃え、反応・生成物質の量関係が分かるようにしてある。
8−7−1 水の電気分解により水素と酸素を生成する。
電解液 希硫酸または水酸化ナトリウム
陽極 4OH- → 2H2O + O2 + 4e-
陰極 4H+ + 4e- → 2H2
8−7−2 食塩水の電気分解により水素と塩素と水酸化ナトリウムを生成する。
陽極 2Cl- → Cl2 + 2e-
陰極 2H+ + 2e- → H2
H+ は H2O H+ + OH- により供給され、OH- はNa+ と一緒にして、水酸化ナトリウムの水溶液として取り出される。
8−7−3 イオン化傾向の大きい金属(K,Ca,Na,Mg,Al)の製造は、酸化物・塩化物・水酸化物を高温で融解し、電気分解する。
アルミニウム Al2O3
6O2- → 3O2 + 12e-
4Al3+ + 12e- → 4Al
ナトリウム NaOH
陽極 4OH- → 2H2O + O2 + 4e-
陰極 4Na+ + 4e- → 4Na
8−7−4 銅の精錬
銅鉱石から製造した粗銅から純度の高い銅を得る。
陽極 粗銅、 陰極 純銅、電解液 硫酸銅
陽極 Cu → Cu2+ + 2e-
陰極 Cu2+ + 2e- → Cu
粗銅中のCuよりイオンか傾向の小さい金属(Ag,Au)は溶け出さないで陽極の下にたまる(陽極泥)。またCuよりイオンか傾向の大きいZn2+,Fe2+は溶液の中に残る。
8−7−5 電気メッキ
陽極 メッキする金属(Au,Ag,Ni等)
陰極 メッキされる金属
電解液 メッキする金属の塩の水溶液