9−1−7 第15族元素 窒素とリン
 
 共通性質 原子価 −3 最外殻電子数 5個
 
窒素 N(nitrogen) 酸化数 -3, +2, +4, +5
 1772年にイギリスのラザーフォードにより発見された。元素名nitrogenは「硝石」を意味するギリシャ語nitronと「産出」を意味するギリシャ語gennaeinによってつけられた。
 
 単体 N2 空気中の体積の約78% を占める。
  製法 空気の分留 沸点 -159.6℃
  性質 ・無色無臭の気体 ・常温では化学的活性が小さく、極めて安定。
 
  アンモニア NH2
  製法 ・塩化アンモニウムと水酸化カルシウムを混合し加熱する。(実験室)
      2NH4Cl + Ca(OH)2 → CaCl2 + 2H2O + 2NH3
     ・窒素と水素から合成する。(工業的:ハーバー・ボッシュ法)
      N2 + 3H2 → 2NH3
  性質 ・刺激臭の気体 ・空気より軽い ・液化しやすい ・水に良く溶ける。20℃で体積比 水1:アンモニア319
     ・水溶液は弱塩基性 NH3 + H2O → NH4+ + OH-
     ・塩化水素により白煙(塩化アンモニウム)を生じる。
      NH3 + HCl → NH4Cl
     ・NH4+ の検出 ネスラー試薬により橙黄色の沈殿を生じる。
  用途 各種化学工業の原料 硝酸、尿素等
 
 二酸化窒素 NO2
  製法 銅と濃硝酸を反応させる。
     Cu + 4HNO3 → Cu(NO3)2 + 2H2O + 2NO2
  性質 ・赤褐色の気体(有色の気体は珍しい)
     ・有毒 ・刺激臭 ・水に良く溶ける。
 
 一酸化窒素 NO
  製法 銅と濃硝酸を反応させる。
     3Cu + 8HNO3 → 3Cu(NO3)2 + 4H2O + 2NO
  性質 ・無色の気体 ・無毒 ・無臭 ・水に溶けない。
 
硝酸 HNO3
  製法 ・硝酸塩に濃硫酸を加える。(実験室)
     KNO3 + H2SO4 → KHSO4 + HNO3
     ・オストワルト法(工業的)
      アンモニアと酸素を熱した触媒(Pt)の間を通す。
      4NH3 + 5O2 → 4NO + 6H2O
      生じた一酸化窒素を空気中の酸素と反応させる。
      2NO + O2 → 2NO2
      生じた二酸化窒素を水と反応させる。
      3NO2 + H2O → 2HNO3 + NO
  性質 ・無色の液体 ・発煙性 ・水に良く溶け強酸
    ・光や熱で分解する。(褐色瓶に保存する必要がある)
    ・酸化力が強く銅、水銀、銀を溶かす。
     濃硝酸 HNO3 + H+ + e- → NO2 + H2O
     希硝酸 HNO3 + 3H+ + 3e- → NO + 2H2O
    ・タンパク質を黄変する。(キサントプロテイン反応)
  用途 各種化学工業の原料(火薬、医薬品、染料等)
 
 
リン P(phosphorus)
 リンは自然発火や発光をする不思議な性質を持っているので錬金術師で研究された。元素名phosphorusは「光を運ぶもの」の意味のギリシャ語からつけられた。
 二種類の同素体がある。
  状態 融解 空気中で 毒性
黄リン 淡黄色 ろう状 しやすい 自然発火する 猛毒
赤リン 赤褐色 粉末 しにくい 安定 無毒
  赤リンの用途 マッチのまさつ面
 
十酸化四リン P4O10 (組成式がP2O5なので五酸化リンともいう)
 製法 リンの燃焼により生じる。
    4P + 5O2 → P4O10
 性質 潮解性がある。
 
リン酸 H3PO4
 製法 十酸化四リン に水を加えて熱する。
    P4O10 + 6H2O → 4H3PO4
 性質 ・潮解性がある。
 用途 ・化学肥料
 
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