9−1−8 第14族元素 炭素とケイ素
共通性質 原子価 4 最外殻電子数 4個
炭素 C(carbon) 酸化数 -4, +4,
古代から知られている元素である。元素名carbonは「炭」を意味するラテン語carbonisにもとづいている。
単体 C
ダイヤモンド、黒鉛、無定形炭素の同素体がある。ダイヤモンドが炭素の
単体であることは1779年に確認された。
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色 |
硬度 |
電気 |
融点 |
用途 |
ダイヤモンド |
無色 |
最も堅い |
不導体 |
3600℃ |
宝石、研磨剤 |
黒鉛 |
黒色 |
柔らかい |
良導体 |
3367 ℃ |
電極、鉛筆 |
二酸化炭素 CO2
大気中に体積比で0.03%含まれている。近年産業活動の結果、含有量が増加し、気候の温暖化の問題が心配されている。
20℃で水1:二酸化炭素0.87の割合で溶ける。
固体状の二酸化炭素(ドライアイス)は昇華しやすい。
石灰水に通すと白色沈殿を生じ、さらに通すと透明になる。
Ca(OH)2 + CO2 → CaCO3 + H2O
CaCO3 + CO2 + H2O→ Ca2+ + 2HCO3-
炭酸 H2CO3
水溶液の形で存在し、単独には存在しない。弱酸
CO2 + H2O→ H2CO3
炭酸塩は強酸で分解され、二酸化炭素を生じる。
CaCO3 + 2HCl → CaCl2 + H2O + CO2
一酸化炭素 CO
木炭、プロパンガス等の不完全燃焼で発生する。都市ガスにも含まれている。
空気より 毒性 液化 水に対し 石灰水 燃焼性
一酸化炭素 軽い 猛毒 困難 難溶 反応しない 有り
二酸化炭素 重い 無毒 容易 少量溶ける 白濁 無し
一酸化炭素の中毒について
ときどき車の中で寝ていて排気ガスを吸って中毒になったというニュースを見ます。一酸化炭素は血液中で酸素を体内に運び込み、二酸化炭素を排出する役目をしている赤血球のヘモグロビンと結びつくと、ヘモグロビンは本来の役目を果たすことができなくなります。
空気中の濃度が0.06〜0.08%で中毒し、0.1%以上では生命が危険になります。
無色無臭ですから気がつくのが遅れる可能性がありますが、頭痛、めまい、嘔吐が起きたらすぐ外に出るようにしましょう。意識を失い、全身麻痺が起きたら、人に助けてもらうしか方法がありません。狭い部屋でのプロパンガスの使用などは十分注意しましょう。
二酸化炭素余談
二酸化炭素は空気より重いので(分子量44、空気の平均分子量28.8)風通しの悪い地下室やマンホールにはいるときは注意する必要がある。口や鼻が二酸化炭素の貯まっているところにはいると、即座に意識を失い、転倒する。新聞にはガス中毒と報道されることがあるが、これは中毒ではなく、窒息である。
年配の人は以前使われていた「炭酸ガス」という人もいる。昔の記憶は確かでも新しいことはなかなか覚えてもらえない。!!
ケイ素Si(silicon)
単体は1823年にベルツェリウスがはじめてつくった。元素名siliconは鉱物の一つである「火打ち石」のラテン語silexからつけられた。ダイヤモンド型の灰色結晶で、硬い。地球上には天然に単体の形では存在しない。多くの半導体の原料として使用されている。
二酸化ケイ素 SiO2(通称:石英・ケイ砂・水晶)
存在 岩石の成分として多く含まれている。
性質 ・共有結合結晶 ・融点が高い ・耐熱性大 ・耐薬品性大 ・紫外線を通す。
ケイ酸ナトリウム Na2SiO3
製法 二酸化ケイ素(酸性酸化物)と水酸化ナトリウム(塩基)を強熱する。
SiO2 + 2NaOH → Na2SiO3 + H2O
性質 水溶液(水ガラス)は非常に粘りけが強い。
用途 土木工事(地盤強化)
ケイ酸 H2SIO3
製法 ケイ酸ナトリウムに塩酸を加える。
Na2SiO3 + 2HCl → 2NaCl + H2SiO3
性質 ・白色のゲル状 ・加熱乾燥するとキセロゲルになる。
(ゲル・キセロゲルについては化学Uで学習する)
用途 乾燥剤(菓子などに乾燥剤として使用されているものは2種類ある。袋を破ってみよう。小数の青色またはピンク色のものが混じっていればケイ酸のゲルである。普通シリカゲルと称している。)
ケイ酸塩工業
陶磁器、ガラス、セメントなどを製造する工業である。