9−2−1 金属元素総論
元素の約80種が金属元素です。電子の配置から典型元素と遷移元素に分類されています。各原子から放出された電子が結晶内を自由に移動できるので金属特有の性質が現れる。(詳細は化学Uで)
原子は電子を放出して陽イオンになります。酸化物は酸と反応するので塩基性酸化物という。
金属元素=陽イオン=塩基性酸化物
その他 融点、沸点が高い。 特有の白色光沢がある(銅と金は有色)。
熱、電気の良導体。
展性(薄く広げることができる)、延性(細長く延ばすことができる)がある。
9−2−2 第1族元素 アルカリ金属 Li, Na, K, Rb, Cs
原子価 +1 価電子数 1個
共通性質 ・イオン化傾向が大きく、酸化されやすい。
・融点が低い。
・密度が小さい。
・柔らかい。
・化合物は水に溶けやすい。
・水酸化物は強アルカリ性。
・炎色反応をする。
Na 元素名 natrium 英語名sodium
1807年デービーが溶融したNaOHの電解ではじめて得た。元素名は「天然炭酸ソーダ」のギリシャ語nitronをもとにしてつけられたといわれる。
製法 NaOH,NaClを高温で融解し、電気分解すると陰極に析出する。
性質 銀白色で柔らかい。ナイフで切ると、硬いようかんのような感覚で切れる。すぐ空気中の酸素と反応して紫黒色になる。空気中の水蒸気ともすぐ反応するため、灯油中に保管しなくてはいけない。2Na + 2H2O → 2NaOH + H2
融点 97.8℃ 比重 0.98
ビーカーに水を入れ、小豆粒の半分大のナトリウムを入れると水上で激しく反応し、温度が高くなるので、液状の球状となり、水素が発火することがある。危険実験なので、大きいナトリウムを入れることは絶対にしないように。
水酸化ナトリウム NaOH (旧名苛性ソーダ)
製法 食塩水の電気分解(陰極付近で生成)
性質 白色の固体、 潮解性(空気中の水分を吸収して溶液になる現象)
水溶液は強塩基性、空気中の二酸化炭素を良く吸収する
2NaOH + CO2 → Na2CO3 + H2O
用途 パルプ、石けん、紙、染料 その他多くの化学工業の原料
炭酸ナトリウム Na2CO3
製法 アンモニアソーダ法(ソルベー法)
塩化ナトリウムの飽和溶液にアンモニアと二酸化炭素を吹き込む。
NaCl + NH3 + CO2 → NaHCO3 + NH4Cl
生じた炭酸水素ナトリウムを熱分解する。
NaHCO3 → Na2CO3 + H2O + CO2
性質 結晶炭酸ナトリウム Na2CO3・10H2O
無色透明の結晶、風解(空気中に放置すると水和水を失って粉末になる現象)、水溶液は塩基性を示す。(塩の加水分解)
強酸により分解する。Na2CO3 + 2HCl → 2NaCl + H2O + CO2
用途 ガラスの原料、染料の原料、各種化学薬品の原料
炭酸水素ナトリウム(通称:重曹)
性質 白色粉末、水溶液は弱塩基性を示す。
加熱すると分解する。2NaHCO3 → Na2CO3 + H2O + CO2
酸により分解する。 NaHCO3 + HCl → NaCl + H2O + CO2
用途 ベーキングパウダー、医薬等
炎色反応 Li 赤、 Na 黄色、 K 赤紫
リチウムの炎色反応の色は大変きれいである。
ナトリウムの炎色反応は肉眼で直接観察すると橙色に見える。しかし分光器を通して観察すると黄色の線が2本見える。
カリウムの炎色反応は大変薄く、僅かに混ざっているナトリウムの色に隠されて、観察することは難しいので、ナトリウムの色をさえぎるガラスを通して観察する。