9−2−4 第13族元素 Al aluminium
原子価 +3 価電子数 3個
元素名はミョウバンを意味するラテン語alumenをもととするアルミナaluminaからつけられた。地球上での存在量は、全元素中、酸素、ケイ素に次いで第3位で、金属元素中では最も多い。
金属の単体としては、1825年デンマークのエルステッドが取り出すことに成功している。
製法 鉱石ボーキサイト → 酸化アルミニウム+氷晶石 の溶融電解
性質 ・展性、延性に富む ・熱、電気の良導体。
・イオン化傾向が大きく、酸化されやすい。熱すると激しく燃える。
表面が不動態となる。不動態とは表面にできる緻密な酸化皮膜で、内部を保護するもの(鉄にもできる)
・酸にもアルカリにも溶ける。
用途 ・構造材、軽合金(ジュラルミン)、最も身近なものとしては、1円硬貨(1g)
酸化アルミニウム(通称アルミナ) Al2O3
性質 ・無色または白色の固体 ・水に不溶 ・硬度が大きい
用途 研磨剤、純度が高く少量の金属を含むものは、サファイア・ルビー
水酸化アルミニウム Al(OH)3
性質 ・白色の固体 ・水に不溶
両性金属について(重要)
アルミニウム、亜鉛、スズ、鉛は周期律表でわかるように金属と非金属の中間にあり、酸・塩基の両方と反応するので、両性金属といわれている。化学反応としてはアルミニウムが試験によく出題される。
塩酸との反応
2Al + 6HCl → 2AlCl3 + 3H2
Al2O3 + 6HCl → 2AlCl3 + 3H2O
Al(OH)3 + 3HCl → AlCl3 + 3H2O
AlCl3 塩化アルミニウム
塩基との反応
2Al + 2NaOH + 6H2O→ 2Na[Al(OH)4] + 3H2↑
Al2O3 + 2NaOH + 3H2O→ 2Na[Al(OH)4]
Al(OH)3 + NaOH → Na[Al(OH)4]
Na[Al(OH)4] テトラ ヒドロキソ アルミン酸ナトリウム 略記 NaAlO2 アルミン酸ナトリウム
名称は遷移元素の項を見て下さい。
硫酸アルミニウム Al2(SO4)3
・無色の針状結晶 ・水に溶けやすい
硫酸カリウムアルミニウム(ミョウバン) AlK(SO4)2・12H2O
・水に溶けやすい
要注意の反応
Al3+ を含む溶液にNaOHまたはNH3を加えると
Al3+ + 3OH- → Al(OH)3 白色沈殿が生じる。
さらに NaOHを加えると
Al(OH)3 + NaOH → Na+ + [Al(OH)4]-
テトラ ヒドロキソ アルミン酸ナトリウム の無色透明の溶液となる。
NH3ではこの反応は起きない。