Facilitation Leaves
ファシリテーター
トレーニング
「理論コース」5
「対人関係の領域/対人関係のプロセス・対人関係のモデル」
<参加者4人> 2003.6.13 

学びのポイント

1.ジョハリの窓を使って、自己開示とフィードバックの重要性を認識する。なぜ自己開示することが大事なのか、なぜフィードバックを受けることが大事なのかを知る。

2.テーマについて話し合い、二人の間で起こっていたことについて考察する。AとBが会話をするとき、発信者であるAと受信者であるBの間で何が起こるか確認することで、コミュニケーションにおけるずれや、確認の必要性を知る。

3.個人がグループ内で起こす行動に対し、グループが持つ期待や態度が決まってくれば、彼の行動は固着化していく。(CPSI理論)
1.ジョハリの窓
□方法□
今のグループにおいて、自分が自分でどれくらい分かっているか(分からないか)ということと、他人にどれくらい自分を出していると思うかについて、四角い枠に、縦線と横線を引く。
 作成したジョハリの窓を発表し、今のグループで自分がどれくらい自己開示し、フィードバックを受けているかについて意見交換する。


<ふりかえり>
他人が自分を分かっているかどうかは、自己開示度によるものであり、自分で分かっている、というのはどれくらいフィードバックを受けているかで変化する。


A(自分も相手も知っている部分)が大きいほど、開かれた窓である。Bは自分では知らない盲目の部分、Cは自分は知っているが相手には隠している部分。Dは自分も相手も知らない部分で、「未知の窓」と言える。
自己開示を行い、同時にフィードバックを受けることで、未知の部分を少なくすることができ、開かれた窓が大きくなる。
また、未知の窓は、可能性や潜在能力を秘めている部分であるといえるので、ここが狭まり、開かれた窓が大きくなるということは、自己の「実現化」「顕在化」をすることである。
これらのことから、自己開示をすること、体験すること、そしてフィードバックを受ける(感受性を高める)ということが、自分を高めるために効果的であることが分かった。そういった経験が増えれば、また、元々のジョハリの窓自体の大きさも大きくなるのではないかという意見も出た。

2.テーマについて話し合う
□方法□
 4人のうち、二人が「地域の活性化」をテーマに10分間話し合いをした。あとの二人は観察者で、お互いの間で起こっていることを記録した。その後、4人がそれぞれ気付いたことを発表しあった。話し合った二人は、自分が思っていたことや相手について気付いたことを発表した。書き出された他の人の発表の中で、自分は気付かなかったところや意外だったところにはアンダーラインをつけた。

□理論□
対人関係のプロセスとは、特定の(そこで相互し合う)二人が起こすダイナミックスである。コンテンツを取り除いたもの。主にコミュニケーションの問題がテーマとなる。
 ・個人内のプロセス
 ・対人関係のプロセス
 ・グループプロセス
 ・グループ間のプロセス


発信者:記号化過程において、適切な言葉を選んでいるか。また、ジェスチャーが必要で効果的かどうか(吟味しているか)。
受信者:解読過程において、言葉を発した人の状況まで理解しているか。
  ⇒ズレがあるのは当たり前

 まず発信者Aにも受信者Bにも、さまざまなバックグランドがある。発信者Aにより言いたいことが記号化され信号となり、受信者Bにより解読され伝わるという工程においては、随所に誤解が生じる可能性がある。
 そのため、受信者Bは受け取った情報について正しく認識されたのかどうかを確かめることが大切だ。確認作業を怠ることは、二人の会話の障害になる。

Memo:ファシリテーターは、“自分が気になるところ”にこだわりすぎない。参加者が疑問に思うことやひっかかることを掘り下げることが、参加者自身の気付きに結びつく。参加者の学びの場であることを忘れずに。

3.CPSI理論
 (Circular Process of Social Interaction:社会的対人相互作用の循環過程)
 「いつもの彼の態度」を期待している回りの人によってフィードバックを繰り返すことにより、本人の自己概念を固着化させる。

(例)
Sさんは、よく冗談を言う。
→周りの人は、Sさんの話に笑いを期待するようになる。
→そうするとSさん自身も、真面目な発言よりも笑いを期待されていると思うようになり、冗談を言うことがより多くなる。

こういった循環過程により、Sさんはメンバー内での社会的位置づけを強化される。

 そのことを避けるために、何かをしたとき、彼についての印象を取り出す段階では「いつも思っている以外の、“意外なところ”」を取り出すようにする。