それにたった1個のビスケで、お手とお代わりさせるなんて酷くない(語尾上げで)。
しかも手を握って、如何にももう1つ隠しているように見えて実はナンも無しなんて。
あたしが鼻先で、おにぎりみたいな手の甲をツンツンしたら言うことが良いですよ。
「犬の風上にも置けんアホじゃ、鼻までアホ?」なんて、コレも酷くない(語尾上げで)。
そうは言っても、時々MIHI奥様がたまにはエエんじゃないん言うてねー。チョコ。
「チョコ食べて、脳みそがヘンになって。腹踊りでもしたら、見に行かなくちゃ」に。
「大丈夫、哲の脳みそは既にヘン」なんて、MIHIセンセにだけは言われたくないねー。
ホント、ナンで体に悪いモンは美味しいんじゃろ?体に悪いんは、犬だけですけどねー。
甘くて苦くて、トローっと胃袋へ落ちて行くでしょ。何て言うかグフッ、哲はタマランッ。
体に悪いっちゃ、自分じゃたしなむ程度って言うMIHIセンセの焼酎ですけど。
その上那覇で手に入れた泡盛の古酒なんか、35度でウイスキー並みじゃないですか。
そんなんやら、あんなんやら。泡盛古酒には50度なんて、ウオッカ並みもあるそうな。
一度でエエから、風呂上がりにクイッと行ってみたいですねー。ワウ、ワウ
ナンでも、とうとう泡盛用のマイ「カラカラ」を手に入れたそうで。
遊び心に入れた陶器のかけらが、注ぐ時にカラリと音がするのが語源とか。
イヤイヤ。「借りる」を意味して、借りて飲むで「カラカラ」とも。
やるモンですねー。凝りやすく、冷めやすく、形から入りやすいMIHIセンセですから。
想像するより先に分かりやすいのも、MIHIセンセの特徴ですな。
あ、孫が生まれて禁酒して、カラカラはどっかへ行っちゃったんですか。それはそれは。
そうそうセンセの特徴っちゃ、秋が深くなってもうちょっとで冬を迎えるってのに。
半袖シャツですよ、半袖。早朝は見栄を張る余裕無くて、薄手ブルゾン羽織ってるね。
とっくに還暦過ぎたんだから、オヤジの冷や水と言うか。プチジジイの太我慢はねえ。
哲も呆れる、MIHIセンセ。
その翌日、哲が見えなくなったが飴は置いた場所から移動していなかった。
「やっぱ、風邪引いてどっかの病院へ入院したか。自宅静養(語尾上げで)みたいな」
首から外された鎖はとぐろを巻いて置き去りにされ、真新しい食器の移動に気付く。
小屋の入り口から入って直ぐの見えるところ、銀色に光って主の帰りを待っていた。
流石にそれを見てただ事ではないことが起こった不吉な予感は、1週間目に的中した。
帰りがけに、哲っちゃんをお世話していたおばちゃんに出会う。
私の「あのー、哲っちゃんは」に、「お世話になりました」で全てを悟ったワケだが。
還暦を過ぎて失った相棒は人ごととは思えずずしんと応え、とぼとぼ歩きながら項垂れる。
こんなことなら鼻血が出るほど、チョコレートを食べさせてやれば良かったかな。
イヤイヤ、それをやったらもっと早く逝っちゃったかも?と思い直したり。
静寂が続く小屋の前を通りすぎながら、夕日に輝く銀色の食器が眩しかった。
聞けば散歩担当のご主人のショックは、計り知れず。私同様、アラ還共通の寂しさ。
禁酒してなきゃ、銀の食器に日本酒でも注いで別れ酒と行きたいところだ。
もうちょっと待っててネ。こっちで、やんちゃしまくるからね。ハアー
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あんまりあっちゃこっちゃに出没するモンで、
MIHIセンセが何処か一カ所にしたらドナイヤ!
ツーことで、ここに納まった次第です。ヨロシク!ワオーン・・・
<自己紹介>
犬種:ラブラドール・レトリバー。
年齢:6歳(2004.5月現在)
性別:オヤジ
住居:山口市。MIHIセンセの家と職場の中間のあたり。
相棒のラブラドール哲っちゃんとお近づきになって、早6年が過ぎ。
ヤツの気持ちが、些かなりとも分かるようになって参りまして。
観察すると彼の食生活が少しずつ変化しているようで、なかなか面白いもの。
初対面の時はおばちゃんから、「哲はベジタリアンで、キャベツやレタスが好き」。
そんな犬は居らんやろ!と、いろんなものを食べさせてみると。
確かにヤツは雑食で、野菜は何でもOKだし。貝は、殻付きでガリガリ行っちゃうし。
おかし類はあんまり与えられていなくて、主食は真っ当にご飯や食パンが定番らしく。
帰りがけに見ていると、お椀の中へ顔を突っ込んでご飯粒をまき散らしながらクチャクチャ。
食事のあとでお椀周辺に飛び散った米粒を探してはペロッと言う風。
直径1-1.5cmで丸いものが苦手なのは、舌を内巻きにしてくるめ取る技だから。
キャンデーは2年にして腕を上げ(舌を上げ?)、小技を使って素早くいただくようになった。
小技とは丸いもの限定で、置いてあるヤツを足でツンと転がして。
「あらら、どうするどうする」驚いたフリをして、パクッと行っちゃう失笑技。
この応用が塀の陰からサッカーボールをコロコロけり出して、MIHIセンセの足を止める技。
そんな時にバレンタインデーだったりすると、哲っちゃん大喜び。
「お前、死んでも知らんデ」
「そんなモン、300個食べても鼻血一発ブッでお終いや」
犬には毒と言われるチョコを、1欠片ほどエンジョイすることになるわけで。
「ダイイングメッセージに、MIHIセンセからチョコもらったア・・・はアカンで。
それから死ぬ前に歯を磨いて、口をゆすいで。証拠隠滅せんとな」
「死にかけてそこまで出来るやろか、自信ないな。ワフう」
「んで、今日は試験や。どっちが好きか?の」
「な、何ですのん?突然試験なんて、追試はしてくれるんやろね。
進級できんやったら、ジッちゃんに申し訳たたんで」
焦る哲っちゃんに科せられた試験は、30cm離してビスケとビーフジャーキー。
「良しッ」でどっちを先にいただくか?、その時にちょっとくらいは迷いがあるのか?
その結果は「未だやで」の間、ずーっと匂いを嗅ぎまくり確かに悩む7秒のタイムラグ。
想定外のビスケを先にいただいて、次いでビーフジャーキーに行ったワケだが。
その理由は恐らく次のどれかであろうと推理できる。
1;ベジタリアンの血が騒いで、先ずはビスケとなった
2;いつも食べてる犬用ジャーキーと臭いが違うので、一瞬ためらった
3;ビーフジャーキーに納豆(MIHIセンセは昼食で納豆を食べた)の糸が引いており、
農薬付きギョウザが脳みそニューロンを伝搬し、嗅覚鋭いヤツは農薬臭か?と固まった
7秒間悩む哲っちゃんの姿は、デジカメで記録されたのでここで紹介する。
ジャーキーとビスケの間の黒い斑点は、勿論ヤツの口からしたたり落ちた唾液である。
夏温度になる前は気温の上昇と、ラブラドール哲っちゃんの活動スピードは正比例。
行動半径も1,6mは拡大するようで、フットワークはぐいぐい軽く。
ビスケの前で垂らすヨダレの粘度も量も、かなり増す。
最近彼は「まだやで」、「アホやろ」を学習。
足音を聞きつけて小屋の奥からのっそり出てきても、「まだやで」一言で直ぐ撤収。
ビスケをいただいた後なのに「お座りッ」って言うと、ヨダレたらたら。
「何処にあるんや、さっき食べたやろ。あんたアホやろ」
振ったしっぽがピタッととまって、ガンを飛ばしながら引きこもり始めるヤツ。
猫は何考えてるんだか?なのに、犬の気持ちは非常に分かりやすくて良い。
シッポだけじゃなくて、耳や仕草に直ぐ現れるからこっちも反応しやすい。
特に哲っちゃんは食べ物を使って言葉を覚えさせると、スピード学習。
これまでに教えた言葉は、「チョコ」と「回転」で。
犬の体には良くない(毒?)と言われる「チョコ」は、実は肉に次ぐ好物みたいで。
普段は貰ってないけど、おばちゃんに内緒でくれるから憶えちゃった。
「回転」は、物干しポールに巻き付いた行動半径制御用鎖を元へ戻すときに使い。
ご飯をくれるおばちゃんも、似たような言葉を使っているらしく学習は速かった。
哲っちゃんは賢くなってるはずなのに、「待て」を忘れたふりして食べちゃうのは小技?
ラブラドール哲っちゃんは分かりやすい。
1)私が近づく足音が聞こえると、緩やかな坂になっている上からの技。
ボールの位置がちょうど足元3m前に来る所へ、コロコロけり出すボール。
塀の陰からこっそり覗くつもりが、目よりも黒い鼻が10cm先に付いている。
「遊べってか」にフガフガ喜んで、蹴ったボールに飛びつき噛みながら小屋へ引きこもる。
2)私の足音はオバカさんの脳みそにも刻んであるらしく、すぐ分かるらしい。
ヤツは近視だから2,3m近寄らないと、私が食べ物を持っているかは判断できない。
「哲っちゃーん、持ってるデ」声かけ見せると、両耳をフワフワさせながら走り出す。
あとはヨダレ垂らしつつ、定番のお座りで数回のお手と「良しッ」を待つだけ。
3)おばちゃんが居るときは、「ワシ、いつも良い子だかんね」を装う。
中2階の小屋にはまりこんで、顔を出し手を前に揃えてだらりと下げる。
「哲っちゃん、キャンデーイランの?」には、「今はダメなんだから、ワウッ」
興奮は隠しきれずシッポ振幅は最高潮に達し、「コンコンコン」小屋の壁を打ちまくり。
4)どうして犬は、あれほど雷が怖いのか?
ご多分に漏れずゴロゴロ出すと、哲っちゃんも大パニックになる。
精一杯情け無い「キューン、キューン」、おばちゃんにSOS。
こうしていつも入れて貰えない家の玄関に、避難することになる。
5)犬は皮を引っ張って貰うと気持ちが良いらしい。
哲っちゃんをバッグに例えると、持ち上げた背中の皮が下げ皮と言うことになる。
ヤツは背中より脇の皮を引っ張って貰うと、具合が良いようだ。
脇の皮をグイッと思いっきり引っ張ると、それまで振っていたシッポが突然止まる。
痛いのではなく気持ちが良いからである事は、ウットリとした眼と滴るヨダレで分かる。
6)球系キャンデー限定、隠し小技だ!
いつも緩やかな坂のところでおやつを待つ、お座り哲っちゃん。
「今日のはナンなの」のクンクンは、許せる焦る気持ちの小技。
匂いを嗅ぐフリをして黒い鼻の先、ツンッと押すと転がり出すからこっちが焦る。
その気持ちの緩みに乗じて「コラコラ、待たんかいッ!」で、パクッと行っちゃう。
平べったいクッキーやビスケじゃ、この手は使えない。
哲っちゃんを見ていると、猫よりはるかに犬の方が気持ちが通じると思う。
無駄吠えする犬と言いますが、哲っちゃんを見ていると無駄なことはしていないようで。
私の気配を察知するときの吠え方は、明らかに「ワウッ。お、MIHIセンセや」だし。
散歩する犬を見たときの吠え方は「ワウーン。甚五郎ウ、何処へ行ってきたんやー」か、
「おうおう3丁目のかっちゃん、元気やったかワオーン」に聞こえるんですね。
猫が通りかかると、
「お前ら、あまり子供生んだらイカンぞ。うるさくて寝てらんないド。
それに法律が変わったんやで。勝手にウロチョロしてたら、とっ捕まるで。ワウワウ」
みたいに聞こえる(タブン)。
哲は私に気を遣うすべも知っていて、ただ声をかけただけでもシッポ3,4回振って。
私の手元チェックで、その後の態度が決まるわけで。引っ込んじゃうか、お座りか。
態度がやたら分かり易く心の単純さは、はっきり言って犬ですねー。
出勤時の「オッス、哲。ヒマやろ」にも、一応2回ほどシッポを振って応えますね。
「あんまりヒマヒマって言って欲しくないねー、人が聞いたら穀潰しかと思われるやろ」
と言う態度が感じられ、「どーせ、このあと寝るんやろ。ホント、ヒマなんだから」と。
猫になると、皆目ヤツらの表情や反応の意味が分からない。(哲のも想像やけど)
犬に比べてシッポの表情も地味だし、目の表情変化も見えにくいし。
如何にも気取った風が、馴染めない。ダイイチ、気に入らないと引っ掻くのが馴染めない。
美味そうなモノを見ると犬はよだれを垂らして、欲しがっているのが直ぐ分かるのに。
猫は「ヘンッ、そんなモノあたしの好みじゃないね」を装ってるかのように見えて。
いきなりひったくってすっ飛んで行っちゃうのが、礼儀知らずで気に入らない。
犬派の私としては、「分かり易さ」で犬に軍配を上げたくなるわけです。
哲っちゃんが、「ワオ?ワフー」となったのにはワケがありまして。
「お手」で哲っちゃんの手(前足?)を握ったまま、中指で肉球をグリグリ。
ビスケは気になるし、肉球はミョーな感じでブルブルッやし。
「コラコラ」言いながら、引っ込めようと思ったら逆に引っ張られるし。
で、「ワオ?ワウヒョーワオ」となった次第。
ところで私は哲っちゃんに催眠術をかけられると言うか、かかっちゃうような。
背中や、首や、特に横腹の皮をグイッと引っ張ってやると気持ちが良いらしくて。
多くの犬がそうらしいですが、他の犬で試したことが無くて証明できません。
しっぽ振ってる哲は横腹の皮を引っ張った時だけ、ぴたっとしっぽの振れが止まります。
これで準備完了、次に鼻の頭から目の間まで指でゆっくり擦ってやるんです。
その時にヤツの耳元で、「ハイ、貴方はだんだん眠くなるウー・・・」を繰り返すと。
1分も経たずに腰が抜けたように座り込み、腕が折れ曲がって横倒しになり。
顎を地面につけてグデーっ、最後は両足をだらしなく伸ばして。
「んもー、どうにでもしちくれー。こら気色エエわー」状態になるわけで。
でもその時に肉球に触ると、ピコッと引っ込めて隠します。
やっぱ、肉球を触られるのは好きじゃないみたいです。
ヌボーッとなってるときに、耳元で「ハイッ!」と言うと催眠術から覚めて。
いかにも「あー、気色えがったア」のカンジで、よっこらしょで起きあがります。
吹く風は頬に突き刺さるような冷たさで、しっかり着込めば庭作業は問題なく。
枯れた芝生の中に濃い緑色を誇る雑草が目立ち始め、追われるように雑草引き。
気温がまだまだ低いのに、雑草の成長は止まるところを知らず。
種がどこから飛んで来るのか?ドバトのフンに混じっているのか?
引いても引いても顔を出す、雑草のしつこさ。
芝生の成長と共に、周辺の小さな雑草を追いやる成分を出すから。
大きいヤツさえを引いておけば問題ないようだけど、いったん引き出すとハイになって。
ペアンで根こそぎ引きまくらないと、達成感が得られず後に残った筋肉痛も不快なだけ。
夏の芝刈りならシャワーの後のビールが待っていると思うと、張り切っちゃうんだけど。
それに脳みそだけ筋肉活動から独立して、エッセイネタや論文ネタが右往左往する。
私の論文なんて臨床エッセイみたいなモンだから、実害はないけど。
データねつ造するえらいセンセは、一体どうしたのやら?
ノーベル賞に最も近いと噂の韓国のセンセだけかと思ったら、東大のセンセも!
なんか、エライセンセ達は焦ってるんでしょうかねー。
期待されるとさらに応えようとするのは良いけれど、ズルしちゃあイケナイねー。
その点で哲っちゃんは、この間のはズルと言うよりテクニシャンじゃった。
おばちゃんが居るのを知らずに「哲っちゃん」なんて呼んだら、なかなか来なくて。
「エエんか、あのさあ」と言ったところで気づいたんですねー。おばちゃんの陰に。
「あら、センセ」に思わずキャンデーを手の中に包み込んでグーしながら、「あ、どうも」。
哲っちゃんは私の手を舐め回すところで、おばちゃんが横を向いて洗濯物を干し始め。
チャンスとばかりに手をぱっと開けば、「よっしゃー」でパクッと行ったけど。
なんせ固いコーヒーキャンデーを泡食って咥えたから、「グフグッ」なんて喉に詰めて。
それでも私の後ろに隠れて咽せッてるもんで、
「あら、哲ちゃんどうしたん?MIHIセンセに甘えて」は哲っちゃん無視。
すっかり飲み込んだから、何食わぬ顔でおばちゃんに向かってシッポ振ったりして。
そのくらいの知恵はあるけど、怪しい論文は書かない哲っちゃん。
「おろ?せっかく学習したのにイ。ワウワウ・・・」
流石の哲っちゃんも、3日続けて球系カンロ飴だと困っちゃうんよねー。
久しぶりに定番のビスケを、沈黙2分37秒の我慢大会でいただいて。
「坂の上に置かれた球体アメの動きと哲っちゃんの心の動きとの形而上学的関連性」
あたしゃそう言う論文を、「日本ワンコロ心理学会」に投稿しようと思ってネ。
四日目の今日は、新たな実験に入る予定だったんよ。奥が深いよー。想定外だよー。
それなのに、今日はビスケ!予定が狂うねー、ワフー。
MIHIセンセ達の業界じゃ、ナンで論文を書くんだろ?
名誉か?自己満足か?目立ちたがりか?、まあそんなとこやろ。
一生懸命書いた論文が、どれだけジッちゃんやガキの役に立ってるんだろ?
10年経ったら、跡形もなく忘れられてるのが多いんちゃいますかア。ワウワウ。
その点ワシらの論文は、町内会の犬の心が97%癒されるヤツだからねー。
どっかの国のセンセみたいに全国民から期待されて、あれウソでしたとも言えず。
手下がチクってとうとうバレバレで、困ったちゃん教授に落ちたやろ?
お金と名誉が欲しかったんかねー、ヤダねー。あー、やだやだ。
爆発する前はどう?なんて、ワケ分からんビッグバンバン論文もあるし。
化石のハエのDNAが、どうこう言われてもね。ハエはハエで、カモシカじゃないから。
「介護認定審査を知らずに、介護認定関連の論文に的はずれのインネン飛ばす査定員がいる」
なんてMIHIセンセが言ってたけど、案外いい加減なモンかもねー。
その点、MIHIセンセの論文はわかりやすいねー。
ゼンゼン世の中の役には立たないけど、一貫性が感じられるねー。
「起承転結のサイエンス」と言うより、あくまでも「つかみ・笑い・オチ」だから。
金になるわけじゃなし、かと言って名誉とはほど遠く吹雪の中のシロクマ君状態。
読み終えて、「ヘー」がせいぜい一回やもんなー。そこはちょっとだけ評価してるんよ。
だからMIHIセンセの論文を、私ら「1ヘー論文もどき」って呼んでますけど。
読み終えた有り難さは、「行きで10円落として、帰りに8円拾った」程度かな?
2円分くらいの損ってえところでしょうかねー。読んで損しても、大したことはないし。
それでも論文が世の中の人に、ちょっとでも役立つって言うんなら。
それを持ってかかってこい!ってんだ。論文で鼻かんでやっから。ワフウッ!
「おろ?MIHIセンセ、ワシにジュースでも?それとも、きゅーっと冷や酒とか?」
尿カップを大事そうに持って通りかかるMIHIセンセに、哲っちゃんからかかる声。
「まさか、ワインとかビールじゃないやろねー。あっしは、ちょっと銘柄にうるさいよ!
あ、話が脱線したけど。閑話休題っちゅーやつやね。ワフワフ・・・。ワインかアー。
ホウホウ、メダカの卵が1週間前にふ化したワケね。
芯の細くて短いマッチ棒みたいなヤツが、メダカのベビーですかー。
コップの中は、真っ黒の目玉が2個だけしか見えんねー」と、覗き込む哲っちゃん。
「で、3匹拉致してきた!ん、なーるほど。ちっちゃいなー、食べても味がせんやろなー。
ワシに似て可愛いなー、ちょろちょろして落ち着きがないなー。そこが違うなー」
一くさりメダカベビーにイチャモン付けて、しっぽフリフリ小屋へ撤収する哲っちゃん。
病院のメダカは2度も産卵して、ふ化する度に子孫が施設のあちこちに分散。
絶滅危惧種「メダカ」君は、我が施設では”繁殖しすぎ危惧種”になるかもー。
尿カップを持ち込めば、「あら、検尿するの?」と来るから。
「病院から拉致して来たんよねー、こいつら」と、目の前に差し出せば。
「水?・・・キャー、可愛いッ!」で、新しい水槽に落ち着きました。
我が家の先住メダカ君達は、成人してるはずなのにいつまで経っても幼児体型で。
下腹に卵をぶら下げているヤツは1匹もいないし、もちろん藻に1粒も卵が付いていない。
MIHI奥様と、「こいつらただの肥満オヤジの集団かねー?」の会話。
メダカの親元の外来ナース曰く。
「もう少し経ったら産卵するんじゃないですかー」
「3回大ウンチしたら、お腹がぺっちゃんこになったりして」
「適当に選んだのに、全員雄か雌どっちか一種類じゃったんやろか?」
「そうかも知れませんねー」
「いろんな体型のヤツが居て、ひれの形がちょっと違うのが居るからなー」
「じゃあそのうち・・・」
「もしかして、雄とニューハーフのメダカじゃったりして?」
「センセ、ニューハーフって。メダカのですかアー、キャハ」
「内股で泳いで、MIHIセンセッおがんこー?なんてな」
「おがんこーって、ナンです?」
「オカマ言葉で”お元気イー”じゃったような・・・」
「センセ、その道に詳しいんですか?」
「どの道よ?やーねー、思わず小指が立っちゃうわアー。なんてな」
「ギャハハ、信じらんないわー」
メダカのニューハーフネタでグイグイ盛り上がる外来。
「あのね、何で手エ握ったまま黙ってんの?良しッ、はまだかいな?ワフーッ。
おろ!怪しい足音やんか、ここで吠えないとイカンし。でもー、ビスケが・・・
吠えたいなー、食べたいなー。え?MIHIセンセも昨日の会議で吠えたって!
会議で吠えるのは止めないと、ちゃんとしたコラボができんよ!ワウワウ」
「良しッ」で、僅か1枚のビスケにありついたラブラドールの哲っちゃんですが。
「まあ」ここらの町内じゃ、チトは知られたコラボの哲ちゃんやけど。
コラボレーションの基本を押さえてあげようかねー、ワウッと」
ラウンド2に向かうMIHIセンセを引き止めて、哲のミニレクチャーが始まる。
「コラボレーションには5つのスキルが必須なんよ」で始めた哲によると。
「1;コラボレーションしたがる犬の意志、2;犬にとって真実であること、
3;犬の自己責任、4;犬への気づきと他者への気づき、5;吠えずに問題解決と交渉」
出典は「ワシら飼い犬のためのコラボレーションの極意」ジェームス・ワウッワン著。
「いま犬はどの立場にいるかを確認。つまりレッドゾーンかグリーンゾーンか?」らしい。
レッドゾーン(以下RZ)は防衛的で敵対的な立場で、グリーンゾーン(以下GZ)はその逆。
ワウッワン博士によれば、個々の犬だけじゃなく組織としてのRZやGZもあるらしい。
「んで、MIHIセンセはRZとGZのチェックリストをやってみた!あ、そう。
そしたら昨日の会議じゃったら殆どRZ!GZは皆目無しねー。困ったお人じゃ。
まあ、早い話が誰かがじゃなくて、自分でボタンを押したようなモンやねー。
話を聞いてると、かなり激しく押したようやねー。返ってこないくらい強く、ググイッと。
時々センセは熱くなる悪い癖がある、困ったちゃんだからホント。ワフー、レロッ」
ここで哲っちゃんは、右奥歯にまとわりついてネチッとしてるビスケを舌で外す。
「え?ボタンを押すと言うことは、何かのきっかけでかっとなったり動揺したりすること。
逆鱗に触れる場合もあると、ワン博士も言ってるネ。だから出来るだけボタンを外すワケ。
ボタンを外すって言うのは、つまり習慣や依存関係から自由になることなんだけどネ。
まだ1/5しか読んでなくて、続きはまた明日のビスケの後でエエでしょ?学習しておくから
ビスケ5枚とか、チョコなんかじゃと。レクチャーがグイグイ早く進むんじゃけどなー。
あ、ダメ!そうは問屋が卸さないってか?上手いこと引っかからんなー」
こうして反省猿と言うか、反省猪八戒状態でラウンド2へ向かったMIHIセンセ。
「およ?ウーロンと菓子パン持って、出勤ッちゅー事は、奥さんに愛想尽かされた!?」
「A子オどこ行ったんやー、帰ってきてくれエー。あ、ちゃう、ちゃうで!
ただの旅行でワシ留守番だかんねッ、そこんとこ忘れないでね。試験に出すからネッ」
「なんや、ツマラン。そんなことかいな!あ、でもそう言うことは昼のビスケ無しッ!?
奥さんの旅行で、ミョーなしわ寄せが来るなー・・・、ワフー。
あ、話は変わるけど。小泉君支持が凄いネ。ワシにはワカランね。勢いついてるからねー。
飼ペット税とか国会に申請されて、体重1Kgあたり¥1000とか言い出したらどうしよ。
丁度良い機会だからダイエットしよか?なんて、おばちゃんが言ったりしてな。ワウッ」
「そんなことどうでもエエけど。戦争で生き残った人生の先輩を、いじめる気イ?
介護報酬一つ見ても、カットに続くカット。お年寄りにも療養環境が大事まではエエわい。
施設も賛成して、まあ収入も増えるし。そしたら部屋代以上のモンを、報酬カットやろー。
おだてて屋根に上げておいて、ハシゴ外すようなモンやで」プンプンMIHIセンセ。
「ワシのダイエットがどうでもエエことは無いデ、ワウッ。エサが減るんやで!
でも人間って節操がないっちゅーか、エエ加減っちゅーか。
どうしようもないやっちゃなー。ワシ、犬で良かったわホントに」じっと手を見る哲。
「そうなんよ!大部屋に住んでる方が、ユニット型個室に住むより報酬が多くて。
オカシイ!って言ったら、そんじゃ大部屋の報酬を下げましょねーかも?
冗談じゃないよ!往復ビンタで泣いてるヤツに、またゲンコで殴るようなモンやで」
段々鼻息が荒くなってくるMIHIセンセに、「まあまあ」と抑える哲っちゃん。
「だから、可哀想なのは殆どが大部屋の施設だよねー」冷や汗タラリのMIHIセンセ。
「そうそう。今更リフォームするには、時間と金がかかるし」ブツブツの哲っちゃん。
「小泉マジック劇場にやられた岡田ちゃんも、オシがもう一歩じゃしなー」
足を病院に向けかけて、思い直したMIHIセンセ。
「話は変わるけど。首相の公人としての靖国参拝にしたって、国民は納得してるんやろか?
国に犠牲を払わされて亡くなった人と、それをし向けた人が同じ所におったらどうや?
エエ気イせんで。ワシの言うことオカシイか?どうよ、どうよ。どうなんよ」
「死んだらみんな神様になるらしいから・・・ワフう」ようワカラン哲っちゃん。
「侵略戦争で日本が国民と外国の人に何をしたか?かなりえげつないことしたらしいけど。
国が責任持って教育しないから、公人が靖国神社に参ってもヘンと思わないんやろなー。
やられた方は、末代まで忘れんぞ!しっかり、しかも誇張して(?)教育するからなー」
「ワシ靖国神社がどんなところか知らんからなー、ワフー。MIHIセンセは?」
「一度だけ右翼の先輩に拉致されて、参拝したことあるワ。
何か神社らしくないなー、フツーじゃないなー。街宣車頑張ってるなー、みたいな」
「そんだけかいな。英霊に対して敬礼ッ!は?」
「英霊みたいな考え方は、古代ローマ帝国時代からあるらしいな。
国が勝手に引き起こした戦争で、犠牲になった人を英雄に仕立てて。
国民に、戦争拒否をさせんようにしたらしいなー。死んでも喜べなんて、酷い話やで。
犠牲者に対してご免なさいッ!戦争はもうしません。じゃろうなー、ホントは」
「そうやそうや!」拍手する哲っちゃん(どうやって?)
「それに、外国には敵も味方も、軍人もそうでない人もやねー。
犠牲になった人を全て、一カ所に祭ってあるところもあるらしいデ。
誰でもおいで、何でも有りの八百万の神にしては寂しすぎかもねー。
その上、戦争はしないって言う憲法9条を小泉君達が変えるかも知れんデ。
いつか哲ちゃんも、3等兵で出兵するかもな?軍医MIHI上官に敬礼ッ!なんてな」
言葉を濁して歩を進めるMIHIセンセ。
昼休み明けは哲っちゃんのビスケタイムで、ぼやくんですなー。
「そんなとこに隠れてないで、ちゃっちゃとしなはれや!
そうそう、それでなくっちゃ。おろ?エエなー、コンだけ陽気が良くなるとナー。
それが、半袖っちゅーヤツね?成る程、ボタンダウンシャツ。しかもチェック。
その点、ワシらは年中着た切りすずめやろ。毛が、夏冬でバージョンが違うけど。
暑いわナー、実際。これから思いやられる夏が来るモンナー。ワフーッ」
出がけにメダカ君達に、「あんたら哲っちゃんと同じで、急に元気になったネー」に。
「あいつとおんなじようにしないで欲しいモンだね。グータラ犬とはちょっと違うよ!」
ピョコピョコ飛び回る権之助1号は、どうして哲の実態を知っているのか?
あいつら、MIHI夫婦の哲っちゃんの噂話に聞き耳を立てているのに違いない。
昼休み明けにビスケを待つ哲っちゃんを、じらして塀の裏に隠れていると。
もじもじしている気配、そっと覗けばビクターの犬みたいに首をかしげてお座り状態。
「おまえ、ずーっとそうしていたら。結構カワイイやん!」で、ハイッビスケ!
「いやー、久しぶりじゃねー。元気にしてた?例のヤツ、忘れてないやろねー。
そうそう、そう来なくっちゃ!ワウー」
2連休の昼休み明け、ビスケにありついた哲っちゃんはMIHIセンセの手元に目をやる。
「およ、それってマニアックじゃねー。海野十三って、”日本SF小説の父”やろ。
昭和初期の科学好き青少年の心を揺さぶったんだよねー、ジッちゃんが言ってた。
レアものやねー、春陽文庫・・・¥505。「赤外線男」が入ってるヤツで。
フンフン、週末に博多へ行った?土曜の夜は、なにイー!ブ、ブルーノートやてー。
エエなあ。あ、小林桂やったんね。エンジョイしまくりで。えー、CDにサインだけ!
肩組んで写真は無し、仕方がないから自分たちの写真を撮ったワケね。クシャクシャ」
哲っちゃんは、ンゴクッの音と喉仏を一回だけ上下させて飲み込む。
「で、翌日はデパート三昧。デパ地下を夫婦で彷徨った。
あ、昼はビールとパンを持って警固公園に行って食べた!安上がりじゃねー。
えー、充電器+電池4本を¥980でBカメラで買った!安いねー、バーゲンだねー。
デパートはナンにも買わずに、試食だけしてジュンク堂へ行った?なるほど。
ははー、西日本最大の本屋!なるほど。そこで、マニアックな本を見つけた!
乱歩のエッセイにあったヤツ。え、木々高太郎の文庫本も!帰るまで待てなくて。
海野十三をバスの中で半分読んじゃった。まあねー、MIHIセンセは読むのが速いからワウー」
ここで、柳腰の位置をずらした哲っちゃん。
「ホウホウ。医学的なことは流石に”ありえねー”で失笑。MIHIセンセでも、もっとマシ?
ワウワウ、言うモンだねー。生意気言っちゃってからにイー、ワフウー。
木々高太郎センセは、タシカ慶応大学の医学部の教授じゃったよねー。
はあ?えらく詳しいのは何故かって?そらセンセ、ジッちゃんから数えて3代目ですモンね。
知らなかったのオ、ワオーン。サスフリの哲と言ったら、この町内会じゃちょっとは名が。
誰がアカイエカもどきじゃ!刺すフリするんじゃなくて、サスペンスフリークの哲平ッ!。
略して、サスフリの哲なんよー。話は戻してもエエやろか?座って話を聞いてもエエよ。
木々高太郎センセの作品は、構成が良いって乱歩センセが誉めてたよなー。
MIHIセンセも医者の端くれじゃから、読んでみたくなったワケ。
「あ、もうこんな時間!」と言いつつ 腕時計を見るふりをする哲っちゃん。
何処に腕時計なんかしとるんや!そら、あんたの足の模様か汚れじゃ!
「あ、もう少し話を聞きたい。良い心がけじゃねー、好きじゃねー。ワウワウッ。
何処まで話したっけ?あ、そうそう。乱歩センセの”鬼の言葉”に、色々あったけど。
サスペンスは文学だっちゅーこと。まあ、昔は”探偵小説”でひっくるめていたけどね。
こうなってくると、話は長いよー。全部喋ったら2週間はかかるけど、聞く?
ワシもオシッコがしたくなったし、我慢して、ボーコー炎になったらイヤじゃからねー」
哲のサスペンスウンチクを残して、すごすごラウンド2に向かうMIHIセンセ。
黄金週間とは全く縁のない哲っちゃんは、急上昇する気温の方が気にかかり。
休みが続いた分MIHIセンセのビスケが遠のくから、「休日反対運動でも・・・ワウワウ」。
そんな思いを無視するように、MIHIセンセは生まれ変わったら犬になろうと。
哲っちゃんみたいな犬なら、24時間のうち23時間はグータラして。
後の1時間で空腹を満たせられれば、まあまあ満足か?と。
でも、ヤツはヤツなりに苦労をしてるかも知れないなーとちょっぴり反省。
例えばMIHIセンセのビスケも、たやすくは口に入らなくなってきたし。
日替わりでクダラン作戦を練ってくるから、おつきあいにも骨が折れるし。
かと言って相手にしてやらないと、ビスケにありつけないから「忍」の一字だし。
「なにー、犬の生活が楽だってエー。どの口で言うとるんか!ウー、ワウワウッ。ガルル。
人間にはワカラン苦労が、あるんぞ!柴犬語やスピッツ語、アイヌ犬語の通信教育とか。
嫌われない犬のマナー学、飼い主を躾ける方法、犬食イロイロ、間違った飼い主選びまで。
まだまだ勉強しなくちゃいけないことがあって、ちょっと見にはグータラしているようで。
苦労が多いんよ。分かるかなアー、分かんねえだろなー。ワフー」と言ったかどうだか。
こうして、静かに黄金週間に突入するのです。
一昨日購入したVAN超バーゲンの黒ダウンジャケットは、凄くあったかで。
ワインカラーの手袋に、MIHI様(ヨン様ではない!)マフラーで全身ぬくぬく。
「グフフ・・・今日は、ゼッタイあいつ驚くぞーッと」
1年中正月気分の哲っちゃんは、日向ぼっこしつつひねもすノタリ。
「ビスケタイムには、すごーく敏感なんよねー。ワウワウッ」
定番のお手もお代わりも、スムースにこなして足元を見た哲っちゃん。
「ワウ?な、何これ。いつもと違うワン!そう言う場合は、ジッちゃんの遺言に従って。
先ず臭いを嗅いでと。クーン、クンッと。ヘ、クシュンッ。花粉がまぶしてあんの?
あんまり臭わないっちゅーか、色は段ボールみたいやなー。ワウー。何やろこれ?」
初体験の口触りに、思わず口からポロリと落としたりして。
「まあ、死ぬようなことは無いやろ。クシャクシャと。おりょ?グニョーッと来るかア。
味はまあ、複雑なんだなー。あら?顎の裏側に、ベチョーっとひっつき回って。
舌でレロレロしても取れんけど、困ったナー。あら?中から出てきたヤツは。
んーと甘くて、ツブツブのアンコと薫り高い練りゴマがほどよく絡み合って。
嗚呼、エエなー。美味いなー、もう一つ欲しいなー。こんなん知らんかったナー。
あ、もう無いんかいな!犬生7年にして、初体験やなー。飲み込むんが、勿体ないナー。
チョコでもエエけど、ちょっと調べたら犬の体に毒って言うじゃなーい。ワウー・・・。
MIHIセンセも言ってたけど、どうして体に悪いものって魅力に溢れてるんじゃろか?」
「じゃあな!でも、美味かったやろ?」が聞こえず、ボーゼンとしている哲っちゃん。
「お・わ・り。どや?あのさいちゅうは、美味かったやろ?気に入ったか?じゃったら。
おばちゃんに、さいちゅうおくれって言うんやで。モナカやないで!」
「フウーン、さいちゅうねえ。モナカじゃないんじゃね。なーんか怪しいけど。ワウー。
まっ勘弁したるわ。美味いさいちゅうが食べたいって言えばエエんじゃね?ワオワオ」
冬たけなわ、いきなり「雪は降るウ、貴方は来ないイ(アダモ風でお願いします)」で。
「犬は喜び庭駆け回り、哲は小屋奥で丸くなる」状態を作っております。
「雪の上を歩かれると、足音チェックがしにくくて。ワオワオ」
「オーイ、哲ちゃん。ビスケやでー。早く来ないと、食べちゃうよー」
「おーさぶ。足先が冷たいなー、バレエみたいにつま先立って。
ついでにクルクル回ったりして、お茶目なボク。なんちって、ワオーン」
「え、今日は寒いからお手とお代わりは無しってか!好きやねー、そう言うの。
いっつも、それでエエんよ。ちゃっちゃと出して、食べて、寝て。そして、寝て」
「あ!スマン」哲の口よりポロリが0.2秒速かった!
「ウーさぶ。歯の根元が震えるのと、MIHIセンセの手袋が大きいのんが原因で。
大事なビスケが、雪の中じゃんかー。歯茎に浸みるなー、でも美味しいナー。
口の中にシャーベットが入って、キイーンと来てブルブルやなー。ワウワウ。
早く小屋の奥へ引きこもらなきゃ!」
で、翌朝のこと。
「最近、オヤジが冷たいと思わんか?」
「そうなんよネー。藻を増やしてもらって、隠れやすくなったけど。
それはそれでエエんやけど、見えにくくなったのを良いことに。
もしかして、ワシらに興味が無くなったんやろか?
水温と同じで、冷たいんちゃうかア?」
「エサくれるおばちゃんは、水を換えたりエサくれたり。お世話になってますウ」
「あれだけ夕方になったら水槽抱えてうろうろしていたのに、最近どうや!
この1ヶ月以上、水槽を抱えてもらったこと無いでエ。まあ、その方が落ち着くけど」
「ウンウン、あれだけは驚かされるナー。ワシら、オヤジと違ってナイーブなんよねー」
こんな会話が交わされている(タブン)、メダカ君達は水槽の中。
昼休みを終えて「よっ、待ってました!ワン」の哲は、雪解けコンクリに鎮座。
「やっぱなー、そう美味いことが続くとは思えないし。ビスケよねー、ワウワウ。
ちゃっちゃと行こうな、お手にお代わりで。ホイホイっと」
「コラー、終わりって言う前に撤収は無いやろ!君には感謝の気持ちがナインか?」
「ワウ?ビスケ1枚で、感謝の気持ちは無いやろ。ウー、ワオッ」
「おーさぶ。あとは省略ッ!しかし、哲っちゃん。ダウンは温いでエ」
「ワシら、天然の純毛(犬毛?)やモンねー。ヘンッ・・・ワウンッ」
「そうなんよ、一粒でエエから。ほろ苦甘いやつを、レロレロ&クチャクチャしたいッ!
やっぱハードビスケだよなー。体に良いモンって、どうして味が貧相なんやろ?
食べたいナー・・・ウウ、よだれが溢れて辛抱タマランわ。
ハードビスケも、無いよりはましやけど・・・ワウ、ワウ、ワウッ」
MIHIセンセはあまーいチョコの臭いを吐いて、ルンルン。
「哲はダメよねー。チョコは入るところが違うから、ご飯の後でもイケルって。
奥様が、言うじゃなアーい。こういうワシもチョコ腹が3つだから、安心してね」
聞いてる哲は、「ガルル・・・好きにしちくれー」とお怒りですウ。
最近絶滅するかも・・・種と言われるメダカが8匹。
MIHIセンセんちへ居候することになりました。
そしたら、哲ちゃんと同じ所でお目見えしなさいって言うじゃなーい・・・残念ッ!なんて言わないでねッ
時々出て参りますので、よろしくねッ!ピコピコ(胸びれで手を振ったカンジが分かりましたア?)
「あれッ?、MIHIセンセ。何持ってるのー、ワオーン。
食べるモンじゃなさそうだし、手桶の中に何か入ってる見たいねワウワオ。
クーンクン。あんまりエエ臭いやないなー」
「オッス、哲っちゃん。これエエやろ。あんたと違ごうて、カワイイやろ?
ほれ、8匹もいるんやでエ」
「ワシでもカワイイって言ってくれる人が、世の中に2,3人はいるワウワウッ」
と言う声を聞きながら、8匹の当事者は思うんですね。
「おいおい。ついさっきヘンなオヤジが覗き込んでいたと思ったら、網が突っ込まれて。
あら?と思った瞬間に、金魚すくいじゃないってーの。冗談じゃないよ、ホントに。
今度は、横揺れの激しいところへ放り込まれ。なんか知らんけど、石けんの臭いはするし。
ゴンドラに乗ったかと思ったら、顔中毛だらけのヤツが覗き込んで。ワオワオうるさいし。
ワシら、このあとどうなるんやろか?何処ぞのサーカスにでも売られて行くんやろか?
ハイ皆様、ただいまご覧に入れますはメダカの玉乗りでござーい。あーヤダヤダ。
神様仏様、弁天様・・・」
「さてと、新しいすみかは準備万端。末広がりの8匹やし、
1匹死んでもラッキーセブン!っと。だから、8匹ナンよねー。
6匹以下になったら、また2、3匹連れてくればエエし。」
のMIHIセンセの声を聞いて、当事者A(仮名Aでオネガイシマス)は。
「この中で死にそうなヤツおるかー。まっちゃんが、船酔いしたようで具合が悪い?
魚はフツーは泳ぐモンで舟には乗らないから、船酔いしやすい。
あ、なるほど。そらそうや、君は正しいッ!思わず納得だーね」
なんて会話を想像しながら、連れて帰ってきたのは8匹のメダカ。
むかし飼っていた金魚のお家を、倉庫から引っ張り出して綺麗に仕上げ。
水を張って天日干しが5時間、カルキが抜けて良い湯加減になっております。
そこへアクすくい用の網が、1匹、1匹、また1匹と。
ふ化して三ヶ月目らしくて、何となく幼児体型がいとおしい。
腹(内蔵?)の色が赤四匹、グレー二匹、白二匹を、風呂桶から水槽へ大移動した次第。
インターネットで「メダカの飼育」を調べると、既にやってもたイケナイこと3連発。
(1)メダカは金属の網ですくってはイケナイ・・・
布製じゃないと、ウロコが取れたりショック死すらすることがあるらしい。
だけど、やってもた!もう遅い。
(2)水は半分ずつ換えること・・・
馴染まない水にストレスを感じるらしい。発泡スチロールの入れ物から直行!
あーあ、ストレスだらけにしてもた!
(3)エサは3分で食べきる程度に与える・・・
1時間経っても、けっこう残っていて。翌朝にはなかったけど。
腹八分目が重要らしいけど、腹十二分目になったかも?
こうして、MIHI家で間違いだらけのメダカ飼育が始まったのです。
名前を付けなきゃイケナイのですが、やたら目玉が目立つので。
「メダケ1号」から「メダケ8号」も味気ないし、「メダカ373号」でもあるまいし。
「メチニコフスキー・オエリャーセン、ジョアンナ・ハンダース、
井上雪之助、権之助1号(2号はいませんけど)、ルドルフ・ドッホツアルク、
チャオシェ・カン、ナンデン・ヨカ様、ピピピ・ピーチャン、
なんて付けちゃうのは如何なモノかと・・・。いちいち思い出すのに、一苦労するし。
十把一絡げで、メダカ諸君にしちゃおうかな?と思うんですわ。
一番小さくて、透けて見える内蔵が黒い権之助1号。
エサをパクつこうとすると、白っぽいお腹のヨカ様に追いかけられて。
逃げながらも、自分の口より大きなエサを突っついております。
我が家に居候して1週間も経つと、エサ担当の奥様が分かるみたいで。
水槽を覗き込むと、底の方から水面に集まってきます。
あんな小さな脳みそでも、学習能力は充分あるようです。
朝は肌寒く、手足がスースーするじゃん!と思いつつ出勤すれば。
医局の入り口でNセンセと鉢合わせで、
「ありゃ!」と言いつつあたしの足下を見つめてニタリ。
「何か?足はずんぐり短いし、靴は両足とも履いてるし、たしか左右ちゃんと・・・。
大根と言うには白くなく、カモシカの足と言うにはカモシカを知らないし」
「いえ、今日は短パンじゃないのでちょっと気になって・・・」
「そらそうですよ、10月の半ばですモンねー。流石に・・・」
「いや、センセは並の方じゃないと・・・」
「そんなに褒められると、照れるなー」
「褒めてませんけど」に、「あら、そう」で始まった今日のお仕事。
外来で決まった入院と予約で来た入院をしっかり済ませて、午後はまったり。
夕暮れ迫る頃に始まる集会に、トップが変わっても中味は変わらんッ!で帰宅。
帰りがけに、哲っちゃんがすり寄ってくるから。「困ったやっっちゃんー」と言いつつ。
皮を引っ張ったりのど元をゴリゴリしたりしたモンで、ヘナーとなっちゃって。
「そこそこ、良いんじゃない。ウウ・・・気持ちいいワオーン。
でも、今日のはいささか力がたっぷりじゃねー。ぎもぢエエ・・・ワオーン」
3分でヘタヘタと崩れ落ちた、哲っちゃんです。
「ワオ?えらく力が入ってるけど、今日職場でなんかあったん?ワオーン」
「そうなんよ。いくらヒマだからって、あんなクダラン会議に出ろなんて」
「ワオワオ。で、どうなんよ?何が気に入らないって言うワケ?ワオッ?」
「進歩がない、まともなディスカッションない、展望がない。3拍子揃ってるモンね。
あれで、なんたらカンファレンスって言ってもねえ・・・」
「ワオワオワオーン。で、鼻息が荒いワケねー。ワオ?」
こんな会話があったとか無かったとか。
ラブラドール犬哲っちゃんの「お手」の時に、ムギュッと肉球を握りしめたところ。
写ってはいませんが、この手の下にはハードビスケットがあるんです。
たった1枚で、「お代わり」と「良しッ」までやらされて。
お預けの最中は涎ぼたぼた、あと1時間もこのままなら干からびてミイラ哲?
肉球がちょっぴりざらざらで、フニャーっとして。
ズリズリすると、急に引っ込めようともがきます。
肉球ザラリ&ズリズリは個人的に気に入ってますが、哲っちゃんはイヤなようです。
「哲平くうーん」
<あ、もうそんな時間か。雨が降っとるんやから、ちゃっちゃとしてや!>
ガサゴソ・・・小屋の奥からお出まし。鎖は、じゃらじゃら。
<ハイハイ、難儀なこっちゃで。雨が冷たいがな。んもーホントに>
「さてと。お座りせんと、犬の礼儀知らず、犬の恩知らずは飼い主の恥やでー」
<礼儀を知らんし、恩を知らんのは犬より人間のほうやがな!>
取りあえず、雨に濡れたコンクリにお尻を浮かせ気味の哲平君。
<あらら、その焦げ茶色とクリーム色の半円形のモンは何やのん?ちょびっと舐めたろ!>
「アホ、マダや!」ペチッ。
<あたた、なんも叩かんでもエエやんか。一瞬舌に当たった感じは、なんや?
初体験やナー、舐めたことない味わいじゃったなー>
「お手で、お代わり」・・・「今日は大サービスで。お手で、お代わり」
<サービスしてんのは、こっちやで。エエ加減にしとかなアカンで>
「んーと・・・もう一回行きたいとこやけど。良しッ」
<当たり前やがな、バホッ。う、美味いがな!表面のほろ苦さは、チョコとも違うしイ。
中はフカフカで、甘さ控えめやなー。わし、MIHIセンセと同じくらい歳やから。
糖尿も気になるし、コレステなんたらっちゅーのも検査せなアカンし。
人間ドックなんちゅーもんが有るらしいけど。ワシやったらドッグドックかいな。
あれ?ドックドッグかいな。ややこしいモンじゃねー、学が邪魔してようワカラン>
フンゴフンゴ鼻を鳴らしゴックン、かけらが落ちたのも気づかない哲っちゃん。
<まあ味はエエとして、強いて言えば半円じゃなくてまん丸ならなー。
心底、嬉しいんやけどナー。いつものビスケとは、エライ違いや!
あれは甘くもなーんともなくて、がさがさで。
なんか。品っちゅーか、奥の深さっちゅーか、艶やかさが感じられんモンなー。
その点・・・あら?ちょっと待ってや。半円形は、仕方がないとして。
端っこに歯形がついて無かったかナー、動転してたから確実なことは言えないけどなー。
あそこの辺だけちょっと湿ってて、ニンニクの臭いがしたような。
勘違いかも知れへんけど、気になるなー。ニンニクが・・・>
「お・わ・り」で、両手のひらを見せるMIHIセンセ。
<ホンマに終わりかー、ホントにあと半円残って無いよねー。
やだよ。あ、ゴメン。残ってたから、食べちゃったなんてのは。
ホント、怒っちゃうよ!暴れちゃうよ!小屋の奥で、さめざめだよ!
おいら、浪速の江戸っ子だっちゅーの。てやんでぃ、ざまー見ろでんがな>
2歩毎に立ち止まり、訴えるようにMIHIセンセを見上げる哲っちゃん。
<これナーンだ、なんて言いながら。ポッケから、ささっと出すのは無しやで。
そんなんしたら、わしシッポ130回は振りまくりナンよねー。
出すモン、ホントにナインやろねー。いちびりせんと出しイや!>
おねだり哲ちゃんの願いも空しく、ずーっとMIHIセンセの背中。
<残りは、明日にしといてあげるからなー。センセが食べたらアカンでー>
雨の昼下がりに、哲っちゃんの声が響くのでありました。ワオーん・・・。
その日の夕暮れ時は、カツー、カツー、カツー。
<おっ、あのみょーな足音はMIHIセンセじゃ!これ間違いない、定理、真実、宿命。
まさか残りの半円、スマンかったネー持っっとった!じゃなかろうね。
それでも、37歩譲って許すけどネ。そら許すとなったら、53歩でもエエんじゃけど。
フガフガとボールくわえてコーフンせんようにして、取りあえず急がなきゃ>
「オース、哲平。なにコーフンしてんの。ワシもう帰るんじゃから」
<ワオ?あんたはエエよなー、ウオーキングで一汗かいたあとのビールやろ。
あたしも飲みたいッ!つまみにビーフジャーキーなんかあれば・・・
想像しただけで・・・ンモー、やっとられんなー>
「お・わ・り、だモンねー」
<わかっとるワイ、ホットケーキでカオスしちゃって。嗚呼、勘違いじゃがねー。
ほな、明日は忘れんように。たのんまっせ!>ワオーん・・・
哲ちゃんが心待ちする翌昼休み明け、ホットタイムうー・・・・・。
<足音は聞こえるんじゃケド、まだ寸胴体型が見えんなー。なんせ、足短いし>
「てーっちゃん、グフフやでエー」
<よッ、ホットケーキを持たせたら日本一!町内会一、近所一イ・・・
待ってました、大統領!神か仏かお地蔵さん!はたまた、怪人二十面相ッ。
イカン、ワシ平常心を無くした犬になっとるわ。人間以下やねー>
涎ダラダラで。シッポは、ちぎれそうにグルングルルンの哲平君。
「じゃあ、お座り」
<座っとるがな、既にさっきからずーっと。涎が出すぎて、脱水症犬やで>
「あらら。食い意地が張った犬は、することは速いなー。お手」
<お代わりもついでにホレ。なんやったら、ずいずいずっころばしでもしたろか。
そんでもって、両手両足を一気にかましたろかいなー。
シッポのおまけ付きでも、とっても気持ちエエんよ。まるで、手乗り犬やね>
「お代わりも、言う前に2回もしてからに。落ち着きのない犬やのー」
<あんたの小学校時代と同じや>
「しゃーない。よ、よ・・・ひゃっくしょーい」
ばふっ、フガフグ・・・「アホっ、まだ良しって言っとらんぞ!」
<いきなりベチッと来ても、ぜーんぜん気にせんよ。
1回や2回どうしたっちゅーんじゃ!頭なんか叩かれても、ちいとも気にならん。
食べたヤツが勝ちやがな。しかし、何度食べても美味いなー。
しかも、昨日のヤツみたいに隅っこも囓ってないしイ。
ちょっと冷え冷えなんは、昨日から冷蔵庫か?まあエエ、勘弁したるわ。
あら、この甘さは何?すんごく涎出放題やんか。知らんかったなー、こう言うの。
メープルシロップとか言うんやろ。おばちゃんが噂しとった。
あんたア、ホットケーキはチョコシロップよりメープルやで。
それが、どこぞの国じゃ正式らしいデなんてな。
わしら犬にはチョコは体に悪いらしいから、エエけど。
まあ体にさわるモンほど、美味いって言うけどな。
メープルは、エエなー。チョコでもエエけど。え?しつこかった?
今日はちょっと余裕で、ちぎれて落ちたんも忘れてないしイ。
覚えとるでエ、あそこに3かけら。あっちは、私の涎だなっと>
「で、お・わ・り」、MIHIセンセが立ち去ろうとすると。
ワウ、ワオーン・・・
<ワシ、インターネットたら言うんで知ったんやけど。
この手でクリックするん、並大抵の努力とちゃうんでっせ。
「犬による飼い犬のためのパソコン講座」に、1ヶ月通ったモンなー>
哲っちゃんがマウスをクリックする様を見せても、MIHIセンセにはワカランみたい。
<お好み焼きたら言うんが、あるらしいやんか。え?知っとる。あ、そう。
大阪と広島じゃ、作りが違うとか。な、ワシ結構詳しいやろ。あ、それも知っとるか。
いろんなもんがぎょーさん入って、ソースの上に青のりと鰹節トッピングらしいで。
今度持ってきてや、ホットと両方でも我慢するから。頼むでエ、ホンマ。
まあ、そうは言うても。明日から、当分ビスケやろなー。喉乾くなー。
ビール飲みたいなー、濃厚ミルクでもエエなー。人間はエエなー>
こうして、哲っちゃんホットケーキ初体験は過ぎ去ったのでした。
めでたしめでたし・・・<いっちょも、めでたくないワオーん>
「お・わ・り」やけど、あんたもビスケ要るかネ?