コミュニケーション障害患者のQOL評価;「ゆおびQOLスコア」

<はじめに>


 コミュニケーション障害患者のQOL評価は困難であるが故に、
積極的にアプローチする必要がある。コミュニケーション障害患者
のQOL評価法を試作・試行し、医師歴30年の主治医の印象をVASで
変換した値と比較した。予備調査として作成されたQOL評価のための
チェック項目は、(A)身体(B)精神(C)活動性(D)社会との交流
(E)血液検査に関する合計19項目であった。クロンバックα系数値
をもとに項目を省略し、QOL評価のためのチェック項目を作成し直し
た。

<方法>


 ADLレベルB患者(以下B群)7例を対照にコミュニケーション障害のあ
るADLレベルC患者(以下C群)13例のQOL評価と主治医の印象をVAS
にて測定した。評価は開始日と3・6・9ヶ月後に行った。修整した
スコアを用いて、各症例の項目合計スコアとVASの値との相関を検討した。

<結果>


 B,C各群の調査項目のクロンバックα係数は、C群9項目で0.7で
ありB群8項目で0.6であった。項目の合計スコアとVASの値の
単相関係数を計算した結果、C群で13例中10例、B群で7例中2例に
相関を認めた。

<考案>

 クロンバックα係数の値から見れば、C群での「ゆおびQOLスコア」
の評価項目は妥当であった。C群でのQOL評価と主治医の印象に相関を
認めたことから、「ゆおびQOLスコア」はコミュニケーション障害患者
で客観的なQOL評価が可能である。

<結論>


 「ゆおびQOLスコア」を用いてコミュニケーション障害患者のQOLを
判定し、クライアント間での比較や時系列的に見ることによって患者
のQOLの向上に役に立てることができる。
詳細は、次のpdfファイルにて。

ゆおびQOLスコア;pdfファイル(pdf227KB)