論理的ピッキング考察(フラットピック編)
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 ピッキングは人によって千差万別であります。どんな弾き方でも良い音が出ることが1番です。いろいろな楽器でそれぞれプロの方はかなり個性的な弾き方をされます。しかし凡人の私としてはこうした方が論理的に正しいんじゃないかと思うことを書いてみたいと思います。

 それではまず、良いピッキングとはどんなものか条件を設定しましょう。
(1)自分が発音したい時に直ちに発音できるピッキング
(2)自分の発音したい音の大きさをかなえるピッキング

この2点をかなえるピッキングとは

 バイオリンを弾いてまして気付いたことですが、バイオリンはギターより自分の意志が命じた瞬間から早く音がでる楽器だということです。何しろバイオリンは弦に弓の毛が触れており、手を動かした瞬間に音が出ます。音を出す準備としてはバイオリンの方が準備ができているということになります。
 ギターでこれを具現化するということは、次に弾く弦に触れておいて発音する瞬間を待つということになりますが、これが理想的にできる人はいないでしょう。しかし、弦から離れて腕や手を大きく上から振り下ろすとかは発音の早さとは違うものを求めている人のやることです。弦に触れる前の動作は小さい方が良いと思います。

 次に、この結論の問題点であります。助走をつけていないでジャンプするようなもので、遠くから弦に向かって勢い良くピックを振り下ろすと大きな音が出るのではないかということです。これを克服するためには下に向かって全身の力を振り絞って強く弦を弾きます。
 チェロを弾く友人が私にアドバイスしてくれたのは、次の音を弾くために弓を止めるのではなく、発音し始める時から脱力していくようにして自分の思う時に力が抜けて弓が止まるようにとイメージするようにとのことです。
 これをギターに応用すると、強い音を出すため、弾き始めた時に弦を弾き切るようなイメージで、弦をはじき終わったら速やかに脱力し、自然に止まるや否や次の弦を弾く準備を始めます。特にストロークプレイでは、弦にあたる前のストローク幅が短くすればリズムの正確さとベースランなどのプレイのミストーンも減らせます。
 強い音を出したら勢いがついているので、弦をはじいた後のストローク幅は大きくなります。これは正確さとかが関係のない動きですから意識する必要はありません。大きいストロークの方がカッコよいですし。

 この項の最後に私が最悪の癖と思うプレイを書きます。それは野球のバッティングでヒッチする癖と同じものです。ボールにタイミングを合わせようとテイク・バックの後、さらに後ろにバットのヘッドを持っていくやつです。タイミングも益々誤差が出るし、何よりボールに対して正確なバットコントロールが出来ません。弦に当てる前のストロークでリズムやアクセントを作ろうとしてせっかく弦に近い位置にあるピックの位置を弦から遠ざけるような余計な動作は危ないです。リズムは身体の中から出すようにしないとね。

 次のテーマはバランスの良いコードストロークを生み出すピッキングです。
全部の弦をバランスよくストロークするにはどんなピッキングが良いのでしょうか?

 猫のひげが暗い狭いところを動くのに役立つように、手首に近い手の付け根部分がサドルにかすかに触れるようにピッキングするのが1番良いと思います。この方法だとエレキギター等のロッカ・バラードとかのミュートした音も出せるように、コードストロークのニュアンスも変えることができます。ドブロやスチール・ギターのミュートもできますよね。私はこれを猫のストロークと呼んでいます。

 このストロークで全部の弦をジャラーンを弾く時に自然なのは、肘から腕を振るということです。手首に頼ってプレイするとどうしても全ての弦を均等に弾くことは難しくなります。全ての弦になるべく直角にあたるように手首の高さを変えず、肘からストロークしましょう。

 リードを弾く時は、小指をピックガードに置く場合は腕の運動が制限されます。その時は猫のひげが小指の先と同じような役割をしているのですが、結構手首の回転する動きも制限されています。コードを弾く時同様、手首の高さを変えないで弾きましょう。ドク・ワトソンのギタープレイがフラットピックで世界一というほど正確なのはオルタネートピッキングと手首を使わないことによると考えられます。

 最後に、
ピックの持ち方についてですが、これについては何を大事にするかです。強い音色なら深く持つ方が良いようですが、コードをきれいに弾くならピックの弾力が使えるよう浅く持つことも。私は、最近はトニー・ライスが教則ビデオで持っているようにしようかなと思っています。