田んぼの学校 佐波川とは?
山口県のほぼ中央を流れる佐波川は、西中国山地の山口・島根両県の県境を源流に、途中、島地川などの支流と合流し、県内最大の平野部を形成する防府平野にて、瀬戸内海に注ぐ1級河川です。
この流域に過ごす人々たちの佐波川への愛着は深く、平成2年から開催されているイベント「ホタルの夕べ」は、佐波川でのアユの豊漁を願う「金鮎祭」と併せ、防府市街地に最も近い本橋付近の河川敷公園を会場として毎年6月に開催されています。
また、平成13年には佐波川流域の自治体である防府市、佐波郡徳地町では、「佐波川清流保全条例」も施行され、現在では官民一体となった清流の保全活動が取り組まれているところです。
一方、同じ佐波川流域の上流域や中流域は純然たる農山村地域として発展してきたものの、近年になり農林業以外の産業への経済依存が高まるなかで、下流域や大都市への若者の流出により高齢化の進行もあり、佐波川が育み培った棚田や里山の荒廃が進み、美しい農山村の景観が失われつつあります。
そこで、この佐波川流域を、次世代を担う青少年の育成の場と都市と農村の交流の場として活用するとともに、流域の環境保全や美しい農山村の景観を再生する取り組みを、流域に住む人たちや若い人たちとともに活動しようと、このたび「田んぼの学校 佐波川」を立ち上げることとなりました。
すでに、中流域の防府市久兼地区での「こぶしの里牧場交遊会」による里山放牧の場を活用した「市民交流の場づくり」や、上流域の徳地町三谷地区における「三谷いしがき棚田会」による美しい石垣棚田を活用した「棚田オーナー制度」などの取り組みが行われており、「田んぼの学校佐波川」におきましても、それぞれの活動とも連携をとりながら取組活動を行っていければと思います。
当面は、防府市久兼地区での活動を行っている「こぶしの里牧場交遊会」との連携した体験学習を中心とした環境教育への取り組みとなりますが、同じ中流域の奈美地区において国土交通省主管による「水辺の楽校」プロジェクトが計画されており、同プロジェクトとの連携を図っていければ存じます。
以上のような経緯により、「田んぼの学校佐波川」を中流域である防府市小野地区から活動の輪を広げていきたいと存じますので、皆様方のご支援をよろしくお願いします。
平成16年7月18日
田んぼの学校 佐波川 事務局
上写真:里山へ放牧された牛とのふれあいを体験する子ども