タイプ字を印刷したものに、筆字で、「河野様」とある〉
差出人=田中作太郎
受取人=河野英男
謹 啓
余寒猶厳しき折柄御障りもなく御過ごしのことと拝察いたします。
さて本年度文部省より研究助成金の交付をうけ総合調査を計画いたしておりました萩古窯の発掘調査につきましては多大の御尽力いただきましたが、いろいろの理由から遺憾ながら本年は延期いたすことに相成りました。
諸賢各位の一方ならぬ御援助御協力を厚く御礼申しあげますとともに今後機会を得て改めて立案いたしたく存じますので、その節は何卒倍旧の御助力を賜わりますよう御願い申しあげます。 敬具
昭和三十三年二月 日
萩古窯総合調査会代表 田中作太郎
河野様
〈その2=昭和32年3月6日付
個人的な手紙〉
差出人=田中作太郎
受取人=河野英男
拝啓 春とはいいながら、寒さはむしろ真冬より以上という昨今ですが、益々御清適の御事と存じ???申上げます。
さて昨年末、種々と御高配を煩わしました萩窯調査のこと、昨年末文化財事務局に於て貴下に御拝眉の節諸種の事情を承った結果、御意見に基いて今度は見合わせることと致しました。誠に残念なことですが、?????なことと存じます。でも他日また機会がありましたら決行し度く思いますのでその節はどうぞ御力添えを願い度く存じます。
御地の教育長殿宛にも中止の由を申上げましたが、それは通り一辺の挨拶のような形ですので貴殿からもよろしく御伝えのほど願上げます。
種々と御面倒な御願いをして御心を煩わしましたことを重ねて御詫び申上げるとともに今後ともよろしく願上げます。 三月六日 田中作太郎 河野様
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