鳴 滝







悲しき朝 
 
       中原中也

河瀬の音が山に来る。
春の光は、石のやうだ。
筧の水は、物語る
白髪の嫗さも肖てる。

雲母の口して歌ったよ、
背に倒れ、歌ったよ、
心は枯れて皺枯れて、
厳の上の、綱渡り。

知られざる炎、空にゆき!

響の雨は、濡れ冠る!

われかにかくに手を叩く・・・


雨の後の鳴滝
この詩は、巨岩の間を激しく落ちる
鳴滝を背景に、時の泰雲寺の
老師品川雷応と中也との、
ある朝の情景を歌ったものとも、
また、愛人長谷川泰子との悲恋に
打ちひしがれた心情をイメージしたもの
だとも言われている。
このため「朝の鳴滝」ではなく
「悲しき朝」になったという説もある。


                   説明書きより
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