説明  2020年6月


【本テキストについて】

沿革
1990年4月万葉集テキスト検索ソフト付きVer1として公開。
(2006年2月 Ver5で公開終了)

2000年4月万葉集テキストデータベースとしてWeb検索システムを公開。
    (2019年3月、セキュリティの脆弱性を指摘されて強制閉鎖)

2016年4月エクセルファイルとしてデータのみを公開。
2020年6月本Webを公開。。

【本文文字について】

UTF-8コードを使用しております。
またそれにない外字は、今昔文字鏡を使用して、本文に提示しています。
ただし検索の便に供するために、もとの置き字符号を当該文字の横に()書きで残しています。

【注尺について】

注釈は備忘録としてあるもので、諸説を網羅したものではありません。
また独自の判断を加えている箇所もあります。
本来は、万葉集講座受講上の予復習の便宜を図るために公開したものであり、本注釈の転載、別文章への引用,、紹介はお控えください。
また今後、修正を加えることがあります。


【原文校訂の基準】

  西本願寺本を底本として、親本である元暦校本や類聚古集を尊重し、非仙覚本系統である紀州本などを参考としました。また当然のことながら活字校訂本の成果も十分取り入れています。

  異同対象とする原文は原本における本文であり、本文への書き添えや訂正も異同箇所として記載しました。

異体字について、「歌」は、底本において「謌」「哥」の表記箇所は参考として掲げました。
  以下の文字種は、この字に統一しました。
乗、傳、兩、國、壮、寝、寳、将、巌、帶、弾、懐、拂、榮、樂、歡、満、濕、濟、為、獻、當、疊、發、真、聲、聴、觸、雜、霊、齊(齋、斎すべて)、衛来、参、拔、拜、挟、數、檢、焼、獣、稱、穂、総、縄、装、顕、飲、驛、驗、鶏、麦、齒、齡、龜、櫟、靱、礪、祢、迩、尓

ただし以下の文字は、底本において混在しており、底本通りとしました。

禮:礼、與:与、萬:万、蟲:虫、辨:弁、餘:余、體:体、茎:莖

  以下の文字については、文字コ-ドの入れ替えの問題があり、使用コンピュ-タにより、交替します。ご注意ください。

鴬:鶯、蛎:蠣、頚:頸、靭:靱、賎:賤、砺:礪、蘂:蕊、涛:濤、迩:邇、蝿:蠅、桧:檜、薮:藪、篭:籠、遥:遙、瑶:瑤

  なお外字は、原文、訓読共通です。ただし訓読文は歌本文には用いず、題詞・左注に限ります。

  歌配列の一部錯簡(例えば09/1194~1207など)については、底本の配列によらず、旧国歌大観番号の配列順にしています。錯簡箇所の説明は加えていません。

【訓読及び表記の基準】

  訓読は、現在の諸注釈書で行われている訓読を基礎として、校訂者の判断で行いました。意見の別れている箇所もありますので、本訓読に従えない場合は独自に書き換えていただいて結構です。ただし書き換え後のテキストの流布については、下記のご利用上の条件を遵守してください。

  文字表記については、文字検索を前提とするため、出来るだけ平易な漢字を用い、現代の熟語表記を基準としました。ただし原文表記を尊重した箇所もあるために、数通りの表記が生じています。検索にはOR検索を用いるか、「かな」項目で行ってください。

  (例)  川、河        我、吾    など

  本文における文字種は、原則として新字体を用いています。

「かな」は、岡島氏の製作になるものを、今回の改訂に基づいて訓読も書き改めていますが、多くは岡島氏の体裁を残しています。難訓も岡島氏の工夫のままに「*****」としています。


【本テキストの形式】

データベース形式になっています。
歌を中心に1レコ-ドとします。

最大フィ-ルド長   約2970バイト  (山上憶良  沈痾自哀文)

 歌配列の一部錯簡(例えば07/1194~1207など)については、底本の配列によらず、旧国歌大観番号の配列順にしています。

1、#[番号]

  旧国歌大観番号  巻/歌番号の形式で表示します。
     (例)  01/0022

  序文など歌とは独立していると認められるものについては、レコ-ドを独立させていますので、歌番号は空白になっています。

  異伝歌が左注にある場合は、歌を中心に1レコ-ドとしています。その場合、歌番号に本歌の番号に続けて「S」を記入しています。また本歌を基準にした場合の左注注記を題詞に入れています。

(例)2628の異伝歌を1レコ-ドとして独立する。

#[番号]11/2628
#[題詞](寄物陳思)
#[原文]去家之  倭文旗帶乎  結垂  孰云人毛  君者不益
#[訓読]いにしへの倭文機帯を結び垂れ誰れといふ人も君にはまさじ
#[仮名],いにしへの,しつはたおびを,むすびたれ,たれといふひとも,きみにはまさじ
#[左注]一書歌<曰>  古之  狭織之帶乎  結垂  誰之能人毛  君尓波不益
#[校異]
#[事項],衣,序詞,女歌
#[訓異]
いにしへの[寛],
しつはたおびを,[寛]しつはたをひを,
むすびたれ,[寛]むすひたれ,
たれといふひとも[寛],
きみにはまさじ,[寛]きみにはまさし,

#[番号]11/2628S
#[題詞](寄物陳思)一書歌<曰>
#[原文]古之  狭織之帶乎  結垂  誰之能人毛  君尓波不益
#[訓読]いにしへの狭織の紐を結び垂れ誰れしの人も君にはまさじ 
#[仮名],いにしへの,さおりのひもを,むすびたれ,たれしのひとも,きみにはまさじ
#[左注]
#[校異]
#[事項],異伝,衣,序詞,女歌
#[訓異]
いにしへの[寛],
さおりのおびを,[寛]さをりのをひを,
むすびたれ,[寛]むすひたれ,
たれしのひとも[寛],
きみにはまさじ,[寛]きみにはまさし,




2、#[題詞]

  分類題、標題等もこのフィ-ルドに掲げますが、最初に表記されている箇所の歌番号の題詞に表記します。その場合、底本において2行にわたっているものは、「/」を入れて改行であることを示します。
   (例)

  題詞において、「・・・何首」とあって、個々の歌には題詞が付けられていないが、その題詞下にある歌については、#[題詞](・・・何首)と()書きにして記入します。

  底本に見られる目録、及び卷頭卷末の標題卷数(万葉集巻第*)は付していません。目録は後日、作る予定です。

3、#[原文]

長歌も一レコ-ドに統合しています。また校異箇所もそのまま<>で示しています。また挿入注記も、本文中に入れています。

  底本が小字表記の場合は、[]を付しました。
    (例)[女郎字曰大名兒也](2/0110)

  序文など歌とは独立していると認められるものの本文も入れました。その場合は、歌番号は空白になっています。

3.1【原文校訂の基準】

  西本願寺本を底本として、親本である元暦校本や類聚古集を尊重し、非仙覚本系統である紀州本などを参考としました。また当然のことながら活字校訂本の成果も十分取り入れています。

  原文について、異同のある箇所はその文字を<>で括り、#[校異]に校訂理由を記しています。ただし参考として掲げた部分については、印はほどこしてはいません。
  (例)#[原文]山越乃  風乎時自見  寐<夜>不落  家在妹乎  懸而小竹櫃(01/0006)
        #[校異]<> -> 夜  [西(右書)][元][類][冷]

  上記本文中に挿入した半角記号 <>[] について、表記分析などで研究上支障がある場合は、sedなどで削除していただいてもかまいません。

  異同対象とする原文は底本における本文であり、本文への書き添えや訂正も異同箇所として記載しました。
  (例)
    #[番号]02/0085
    #[原文]君之行  氣長成奴  山多都祢  迎加将行  <待尓>可将待
    #[校異]尓待 -> 待尓  [西(訂正)][紀][金][温]

4、#[訓読]

  訓読は、現在の諸注釈書で行われている訓読を基礎として、校訂者の判断で行いました。意見の別れている箇所もありますので、本訓読に従えない場合は独自に書き換えていただいて結構です。ただし書き換え後のテキストの流布については、下記のご利用上の条件を遵守してください。

  文字表記については、文字検索を前提とするため、出来るだけ平易な漢字を用い、現代の熟語表記を基準としました。ただし原文表記を尊重した箇所もあるために、数通りの表記が生じています。

  (例)  川、河        我、吾    など

  テキスト形式から訓読、表記を改変している箇所もあります。

5、#[仮名]

  岡島氏の製作になるもの基本としています。訓読を改めた部分もありますが、多くは岡島氏の体裁を残しています。難訓も岡島氏の工夫のままに「*****」としています。
  訓読と同じく、テキスト形式から改変している箇所もあります。

6、#[左注]

  左注も、個々の歌には付されていないが、その説明下にある場合は、題詞の体裁にならって()で記入します。ただし、どの歌まで差しているのか意見が別れて不明な場合は、#[左注]?()とします。

7、#[校異]

  m_koui.txtにあったものです。題詞、本文、左注の校異を一括して掲げ、「/」で区切っています。

  (例)太 -> 大  [紀][冷][文](01/0001)
     [紀][冷][文]により、底本の「太」字から「大」字に改めたことを示しています。

        樹  [西(上書訂正)][元][類](06/1009)
     見せ消ちや消去訂正で原字が読み取れず不明なものを、底本の訂正文字で改めたこ      とを示しています。

        沙  [元]  弥  [注釈]  紗(01/0015)
     字は底本通り「沙」としたが、ただし参考として「弥」「紗」字も考えられること      を示しています。

  校異箇所が1レコ-ド中複数存在する場合は、「/」で区切ります。また題詞、本文、左注の校異を一括して記入します。

  題詞、左注においては、実際に記載されている箇所のレコ-ドに記入しています。()書きの箇所には再記入していません。ただし序文など独立したレコ-ドのある校異は、歌本文のあるレコ-ドに記入しています。


8、#[事項]

  キ-ワ-ドの項目です。歌の分類、作者、作歌場所(現代地名)、作歌状況、特徴などを中心に検索用単語を掲げています。ただし歌の特徴などは任意の認識に拠っていますので、各自で書き換えていただいてもかまいません。或いは統一性もとれていないかも知れません。また地名など諸説あるものについては、強いて判断を行わずに、併記しています。或いは認識不足から漏れ落ちている要素もあると思います。その場合は、補足してください。補足分をお知らせいただけると幸いです。
  作者とその歌に関連する人名を区別するために、作者には、人物名の前に「作者:」と記入して検索の便に供しています。また歌中に地名表記がある場合は、「地名」というアイテムを入れており、題詞、左注などから詠まれた場所がわかる場合は土地名表記のみで、歌中の地名表現と詠まれた場所とを区別しています。


9、#[訓異]

 訓異動のあるものを句単位で表示した差分情報です。現在のところ(2004.03現在)は、寛永版本の訓異動のみ表示しています。

  原本の文字が片仮名、平仮名の区別はしていません。
  原文(漢字)異同の情報は掲示していません。
 従って、訓の相違における原文の異同は掲示していません。
 また、句をまたがった訓の相違は示していません。

  (例) 01/0006
         やまごしの,[寛]やまこしの,
            かぜをときじみ,[寛]かせをときしみ,
            ぬるよおちず,[寛]ぬるよおちす,
            いへなるいもを,[寛]いへあるいもを,
            かけてしのひつ[寛],

    左側の句が本文仮名訓、対象の本が同訓の場合はその直後に略号を表示。異なっている場合は、「,」で区切った後、先頭に本の略号と異訓を表示しています。

#[大意]
#[語釈]
#[説明]
#[関連論文]


【写本】  けい眼したもの。いずれも影印本。

        [西]  西本願寺本            竹柏会               昭 8. 8    (底本)
        [嘉]  嘉暦伝承本            竹柏会               昭16. 8
        [紀]  紀州本                後藤安報恩会         昭16. 8
        [宮]  神宮文庫本            勉誠社               昭52. 4
        [天]  天治本                竹柏会               大15. 4
              天治本(冠纓神社蔵)  勉誠社               昭58.12
        [類]  類聚古集              煥文堂               大 2.
        [古]  古葉略類聚抄          佐々木信綱           大12. 2
        [尼]  尼崎本                貴重図書影印刊行会   昭 7.11
        [春]  春日本(残簡)        竹柏会               昭 4. 4
        [壬]  伝壬生隆祐筆本        竹柏会               昭16. 2
        [桂]  桂本                  集英社               昭51. 4
        [藍]  藍紙本                講談社               昭46.10
        [元]  元暦校本              朝日新聞社(諸本集成)  昭 3.12

        以下、活字校訂本のリストによる

        [金]  金沢本
        [文]  金沢文庫本
        [温]  温故堂本
        [京]  京大本
        [細]  細井本
        [大]  大矢本
        [冷]  伝冷泉為頼筆本

【版本】

        [寛]  寛永版本

【参考活字校訂本】

  (楓)    鶴久・森山隆            おうふう       平 3. 5
  (塙)    佐竹昭広他              塙書房         平 5. 3     初版33刷
  [新訓]  新訓万葉集  佐々木信綱  岩波文庫       昭52. 9     58刷
  [定本]  定本万葉集  佐々木信綱  岩波書店       昭23. 6
  [新校]  新校万葉集  佐伯梅友他  創元社         昭32. 5     10版
  校本万葉集  全17巻              岩波書店       昭57. 8     増補第2版(完結)

【参考注釈書(古注も含む)】   刊行年期は該当巻最終刊行年月

  万葉集拾穂抄       北村季吟                       新典社            昭52. 1
  万葉集管見         下河辺長流     契沖全集        朝日新聞社        昭 2. 2
  万葉集代匠記  初稿本・精撰本      契沖全集        岩波書店          昭49. 8
  万葉集僻案抄       荷田春満       荷田全集        名著普及会        平 2.12
  万葉集童蒙抄       荷田在満  他   荷田全集        名著普及会        平 2.12
  万葉考             賀茂真淵  他   真淵全集        続群書類従完成会  昭60. 9
  玉小琴             本居宣長       宣長全集        筑摩書房          昭51. 6
  万葉集略解         加藤千陰                       国民文庫刊行会    明44. 2
  万葉集古義         鹿持雅澄                       精文館            昭12. 3
  
  万葉集新考         井上通泰                       国民図書(株)    昭 4. 1
  万葉集全釈         鴻巣盛広                       大倉広文堂        昭10.12
  万葉集講義         山田孝雄                       宝文館            昭12.11
  万葉集注釈         澤潟久孝                       中央公論社        昭45.11
  万葉集全註釈       武田祐吉                       角川書店          昭32. 9
  万葉集全注(未完のため一部利用) 伊藤博  他       有斐閣            平 5. 4
  岩波古典大系『万葉集』  大野晋  他                岩波書店          昭48.12
  小学館全集『万葉集』    佐竹昭宏  他              小学館            昭56.12
  新潮古典集成『万葉集』  伊藤博  他                新潮社            昭59. 9
  角川文庫『万葉集』      伊藤博                    角川書店          昭63. 2
  講談社文庫『万葉集』    中西進                    講談社            昭55. 2
  旺文社文庫『万葉集』    桜井満                    旺文社            昭50. 4


【ご利用上の条件】

  原文、訓読、また訓読表記の責任は、校訂者が負います。従って、本テキストの著作権は校訂者にあります。ただし、誤字脱字など入力ミスによるご利用上の支障や損害は、責任を負いかねますので、あらかじめご了承下さい。

  校正には万全を期していますが、まだ気のつかない箇所があると思います。万が一、誤字を発見された場合は、校訂者に一報をお願い申し上げます。

【入力協力芳名】(敬称略)

  このテキストを製作するにあたって、下記の方々の協力をいただいております。記して深謝申し上げます。

《原文テキスト》

池田(飯泉)三枝子(実践女子大学)   基礎入力
川本純子(山口大学 平1年度卒)     同
上野淑子(山口大学 平3年度卒)     同
中村武司(山口大学 平4年度卒)     校正
河村奈津子(山口大学 平5年度卒)   同
石神晶子(山口大学 平5年度卒)     同

《訓読テキスト》

北野達(米沢女子短期大学)         基礎入力
池田(飯泉)三枝子(実践女子大学)   校正
川本純子(山口大学 平1年度卒)     同

《仮名書きテキスト》

岡島昭浩(大阪大学)           基礎入力

【謝辞】

  仮名書きテキストは、本来岡島昭浩氏のご好意で作成されたものであり、今回の改訂版にそのまま利用することを快く許可くださったことに感謝申し上げます。

今昔文字鏡(文字鏡研究会)を紹介していただき、また万葉集の外字の選択作業をしていただいた谷本玲大氏に感謝申し上げます。

今昔文字鏡は、「パソコン悠々漢字術2002」紀伊國屋書店(2002.4)の所収のものを使用しています。