1999年7月vol.13
今年の六月の雨は私にとって涙雨となりました。
私の絵の先生、長沢節先生がお亡くなりになりました。
高齢だったので少しは覚悟していた事ですがやはりショックでした。
しかも自転車での事故だったので、余計残念な思いです。
あんなにすごい人が、あんなにあっけなくいなくなってしまうんだから…
王様でも億万長者でも、学者でも、誕生の形と死の形は、自分では選べません。
何かの力と作用で時計の針がピタッと合うみたいに命が生まれ、消えるのです。
それだけのことなのに自分では時も場所も何も選べません。
自分の自由になるのは、生と死の間にいる時(今)だけなのです。
身近な人の死は大切なことを思い出させてくれます。
悲しみは心を豊かにしてくれるものだと思いました。
涙は乾いていた部分にすうっと浸み込んでいきます。
涙は命の水、彼からの贈り物だと思いました。
モクレンの大きな大きな緑のカサの間からは、
雨のしずくではなく、キラキラ眩しい光がこぼれて来ます。
天国からのメッセージのようです。
〜1999 六月の涙〜