通信符(右印)・印箱


鋳銅製。総高4.7cm、印面は縦5.5cm、横1.7cmで、「通信符」三文字の向かって右半分が鋳出されている。つまみの頂点中央に、「上」字、印の側面に「朝鮮国賜大内殿通信右符」、印の上部向って右側に「景泰四年七月 日造」と陰刻している。景泰4年は日本の享徳2年(1453)にあたり、大内教弘(おおうちのりひろ)の時である。
本印は通信符を折半したうちの右印である。左印は朝鮮側に保管され、日本側より派遣された使節が正式な使節かどうか確認するために用いられたと思われる。大内氏は朝鮮王朝に対して使節を派遣するとき、この通信符を捺印した書簡をその使節に授け、正式な使節であることを証明したのである。
印箱は真鍮製で、総高9.4cm。内部は上下二段に分かれ、上段の底に朱肉の跡が残っているので、ここに印肉を入れていたものと思われる。下段にはさらに引き出しが設けられ、この中に印を納めたものと思われる。
この印は「日本国王之印」とともに大内氏の滅亡後毛利元就が入手し、以降毛利家によって大切に保存されてきた宝物の一つである。