総高9.2cm、口径12.5cm。腰が強く張り、口部へ行くにしたがってすぼまりぎみにつくられた胴部に、高い高台がつけられている。釉薬(ゆうやく)は土灰釉で、碗上部は比較的によくとけているが、高台まわりは不充分である。総じて焼成温度はあまり高くなかったと思われる。器形に特徴があり、いわゆる李朝の祭器によく似ている。和風化を指摘することが、造形的にむずかしく、おそらく朝鮮半島から渡来した工人が、その初期につくりあげたものと思われる。この茶碗には江戸初期の俳人松江重頼の「ふかす共露ながら見む萩茶碗」の短冊が添っている。