菊造腰刀(刀身・拵)


刀身は26.5cm、鵜首(うのくび)造りで、反(そ)りはなく、側肉は豊かで表裏に薙刀樋(なぎなたひ)を彫っている。鎌倉末期の典型的な大和物で健全である。銘はないが、当麻(たいま)の所伝がある。当麻とは奈良県葛城郡当麻を本貫とする刀工のことである。拵(こしらえ)は長さ30.8cm、軍記物などによくみられる筒金入り、合口造りの腰刀である。柄(つか)・鞘(さや)ともに金梨子地(きんなしじ)で、柄には赤銅(しゃくどう)魚子(ななこ)地に枝菊を高肉彫りにあしらい、同じ彫り文様の小柄(こづか)、笄(こうがい)つきで豪華なものである。