9−1−6 第16族元素 酸素と硫黄
 
 共通性質 原子価 −2 最外殻電子数 6個
 
 
酸素 O(oxygen) 酸化数−2(ただし過酸化水素H2O2場合は-1)
 1774年プリーストリーが発見した。この元素はほとんどすべての元素と化合し、非金属との化合物は酸性の性質を示す。そのため元素名はギリシャ語で酸を意味する語にちなんでoxygen:酸素と誤って名付けられた。
二種類の同素体がある。酸素O2 オゾンO3
 
製法 ・過酸化水素または塩素酸カリウムに触媒として酸化マンガン(W)を加える。(実験室)
2H2O2 → 2H2O + O2   2KClO3 → 2KCl + O2 (加熱)
・水の電気分解 空気の分留(工業的)
 
性質 ・無色無臭の気体
・多くの元素と化合物:酸化物をつくる。(希ガス・金・白金を除く)
金属化合物は塩基性、非金属酸化物は酸性を示す。
 
硫黄 S(sulphur) 酸化数 −2、+4、+6
  1777年ラボアジェにより元素として分類された。
  三種類の同素体がある。斜方硫黄、単斜硫黄、ゴム状硫黄
斜方硫黄の性質 黄色、水に不溶の固体。熱・電気の不導体。多くの金属と化合し硫化物をつくる。
用途 硫酸の原料、ゴム製品
 
主な化合物
硫化水素 H2S
製法 ・火山性ガスに含まれている。
・硫化鉄に希硫酸を加える。FeS + H2SO4 → FeSO4 + H2S
 
性質 ・悪臭(不卵臭)のある気体 ・有毒 ・空気より重い ・還元性
   ・各種金属と化合し、硫化物をつくる
   ・水に溶け弱酸性(硫化水素水) 20℃で体積比 水1:硫化水素2.6
 
二酸化硫黄 SO2
製法 ・硫黄や硫化鉄を空気中で焼く。
 
・亜硫酸塩に希硫酸を加える。Na2SO3 + H2SO4 → Na2SO4 + H2O + SO2
 
性質 ・刺激臭のある気体 ・有毒 ・空気より重い ・水に溶け弱酸性 ・還元性
 
用途 ・漂白剤 ・硫酸の原料
 
硫酸 H2SO4
製法 二酸化硫黄と酸素の混合物を、熱した触媒(白金や酸化バナジウム(X))に触れさせ、三酸化硫黄を得る。 2SO2 + O2 → 2SO3
水の中に三酸化硫黄を通す。    SO3+ H2O → H2SO4
 
濃硫酸の性質 98%
・無色の液体 ・粘りけが強い ・比重が大きい 1.84 ・不揮発性(無臭) ・沸点が高い 338℃ ・吸水、脱水作用が大 ・酸化作用がある ・電離度が小さく弱酸
希硫酸の性質
強酸 ・酸化力はない ・吸水、脱水作用はない
SO42- の検出 Ba2+ により白色沈殿を生じる。
 BaCl2 + SO42- → 2Cl- + BaSO4
 
用途 化学工業、鉛蓄電池
 
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