仮想審査会の総括

状態像の判断の困難さが報道された。
写真は、朝日新聞(1999.9.5)朝刊から。
痴呆の状態とADLの状態とのかねあいについての判断は、
現場を知らなければ正確な判定がしにくいことが浮き彫りに。
自治体の格差も指摘された。

さて、かかりつけ医の意見書が昨日6通分到着した。
一通30分は充分に要するから・・・。
およそ120通は来るはず。徹夜に?

10月1日。
審査委員委嘱会が開かれて、本格的な活動が始まる。

仮想介護審査会にて

15例中の6例が介護度ランク変更へ。15例で140分もかかってしまった。
本番では、一回の審査に30例が検討される予定だが・・・。

<ランク無変更>
一次判定結果  審査会結果
・非該当 −>  非該当  =2(うち1例は非該当から要支援へ変更を主張;5人/11人)
・要支援 −>  要支援  =2
・要介護2 −> 要介護2 =1
・要介護3 −> 要介護3 =1
・要介護5 −> 要介護5 =2
 重度介護は変更しようがなかった。6や7があれば・・・。
 介護度要支援無変更のうちの1例は、特別養護老人ホーム入所中の方だそうだ。
すると、5年以内に退所せねばならない。退所すれば独居となるこの方は、かなりの高齢。
要支援では十分な介護支援は得られないだろうし、いわゆる介護難民になってしまうのか?
介護ランクが施設入所に適合するほどに悪化するまで、じっと待つ悲しいことは避けたいモノだ。
介護保険が始まって、人生の大先輩の悲鳴があふれねば良いが。
介護ランクが軽くなった施設入所者の流浪(転所、入院)が既に始まっているという噂は真実?

<ランク変更>
一次判定結果  審査会結果
・要支援 −>  要介護1 =2
・要介護1 −> 要介護3 =1(一次判定にかなり問題あり)
・要介護3 −> 要介護4 =1
・要介護3 −> 要介護5 =1(一次判定に大いに問題あり)
・要介護4 −> 要介護5 =2

軽くなったケースはなかった。私と他の10名の委員との意見一致は、13例/15例。
合致しなかった2例はランクはワンランク重度へ変更がなされたが、
個人的には更にワンランク重度と思われた。
本番では、ご家族が納得行かねば不服申請をしていただくことになるはず。

介護審査委員会が本格的活動開始

 一次判定ソフトの大幅な修正がなされ、さる7月末にアルゴリズムも公開された。
これは、約3400名の各種施設の高齢者の介護状況を統計処理して、平均的な介護時間を
「1分間タイムスタディ」と言う便宜上のものさしを作成した。これは「介護の手間」を分
になおしたもので、実際の介護時間とは異なる。単なる「ものさし」という
「要介護認定等基準時間」であるとことわりが着いている。
だから樹形モデルで、入浴支援0.2分なんて言うのがあるわけでして。
また、軌道修正のために「中間評価項目」を採用しているのも目新しい。
ADL、痴呆度の組み合せのよる要介護度別分布を示した意図は、「あくまでも平均だよ!」
と言いたいらしい。しかもQ&A集でしっかり押さえてある。予防の概念が医療保険と
異なるところで、予防的な内容は、特記事項で示せば良いそうだ。一次判定の樹形モデルを
見ると、細かな内容と1分間タイムスタディの数字が、よほどの事が無い限り変えらるれる
もんじゃないことを示しているようなきがするのだけど・・・。
 特記事項、主治医の意見書における具体的な内容に基づいてのみ一次判定は二次判定で
変更されると言うけどね。
 要介護認定等基準時間は、要介護認定の対象となる高齢者が特別養護老人ホーム
・老人保険施設・介護力強化病院で提供されている介護サービスの記録から得られたもの
だそうだ。すなわち、すべての対象者を施設入所としてみなした時間である。
だから、利用者が感じる時間の長さとは違うらしい。しかも、ご丁寧に続ける。
「コンピューターが要介護認定の審査判定を支援する事は合っても、コンピューターが
要介護認定を支配する事はないらしい。」そう合って欲しいモノだよね。
 3400名のデーターとその解析が公開されなければ、一次判定はブラックボックスに
なってしまう。一次判定は通常一回だけど、ダブルチェックは要らないんでしょうね?
厚生省が一次判定ソフトを配って、各自ケアマネージャーが要介護度を確認するってのが
あっても良いかもしれない。

☆判定の材料にならないもの
・施設入所・在宅の別、住宅環境(認定有効期間で調整?)
・家族介護者の有無(例外的に、具体的な特記事項や主治医の意見書で変更可能)
・本人の意見や現在受けているサービス(同じだけサービスを受けたければ保険以外は自費で)

介護審査委員会での二次判定時間は、対象者一人当たり4,5分でしょうかネ?

参考
http://www3.wind.ne.jp/hassii/kaigo/
で、要介護認定一次判定のエミュレーションが出来ます。すごいドクターがいたモンだ!
Copyright(C)DocMihi.1997


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