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方言句集に見られる篠生地域の方言・物の名称

昭和に老人大学の中で開設された俳句の会(市原あつし氏主催)で出された句集(現:篠生交流センター図書館蔵)の中に方言を使った句集を見つけました。
 冒頭の文を紹介します。
 「学期はじめに今年も句集を作ろうということになり一つの試みとして、方言を詠った(使った)句を作って、若い世代に残そうではないかということになりました。さて、ぼつぼつ原稿が来てみると、方言でないものが相当ありこのたてわけ(区別)は中々むつかしいようです。たとえば横座・木尻(きじり)・まま(飯)いぬる(去ぬる)など古い言葉も出てきます。そこで、方言または古い言葉で詠むことになりました。間違いもあろうかと思います。読後のご意見・ご感想をいただけたらと思います。・・(略)」
 それぞれの句に解説がついていました。たとえば
「冬寒し老婆の仕事おどろ取り」
 女も年を取るにしたがい細かい仕事や力仕事は無理になる。ただし働かずにおれば体も弱って年甲斐もない。暇にまかせて山に行き枯れた枝や枝打ちされた木をまとめて持ち帰り風呂焚きとし家族の一員として働く喜びとほんの少しのせつなさを感じるのである。
 この頃の生活がそれぞれ感じられるものとなっていますね。また使われていた方言や道具の名称も私達に参考になりますね。M.Mihata
 
No. 頭文字カシラモジ 方言ホウゲンor名前ナマエ 意味イミ 使用シヨウ
1 ああぬけだま 仰向アオムけて 雪道ユキミチああぬけだまにすべりこけ(伊藤イトウ寅三トラゾウ
2 ああむく ウエ ああきてトモ一緒イッショカキをもぐ(シロイチショウト)
3 イシごうとく イシオオ・やせハタケ イシごうとく雑草ザッソウばかりよくソダつ(中野ナカノツネ
4 いかい オオきい ホリりたてのいかいさつまをめにけり(長見オサミヤチ
5 いばつげな イソガしそうな いばつげな姿スガタえたかな(吉岡ヨシオカサト
6 (う)えみて 田植タウえのわったこと えみてのヒトマイカオほのか(野田ノダあい)
7 うちぶり 土砂降ドシャブ うちぶりにコスモスのハナイタましむ(ダイ八重子ヤエコ
8 えぐイモ(いも) 里芋サトイモ えぐイモアラえばマデがかゆくなり(福江フクエイトヨ)
9 ええ ええ着物キモノかっぽん(かっぽり)いてアキマツり(三浦眞佐子)
10 おどろ マキチイさくタバにしたもの フユアタタかし老婆ロウバ仕事シゴトおどろとり(野田ノダあい)
11 おいでませい てください  クダさい 焼酎ショウチュウおいでませいとえてち(伊藤イトウみのる)
12 ヨコ ウエ ネコヒザいてヨコヌシ窪田クボタマサコ)
13 おおがっそう カミがばさばさの状態ジョウタイ 老妻ロウサイのおおがっそうやハツカガミ藤村フジムラゼン衛)
14 かたくわなアメ ツヅアメ かたくわなアメ不作フサクツキイネ(大乗八重子)
15 かるう 背負セオうこと クサりてかるうにっこうカタにきれ(桑原千年)
16 かたつら 片方カタホウ ドロミズハイるかたつらの田植タウクツ藤井フジイみさよ)
17 かくれごう かくれんぼう 夕焼ユウヤけのとうやくにナドのかくれごう(木嶋キジマます
18 きつねハナ(ばな) 彼岸花ヒガンバナ きつねハナいてあぜミチノコる(野田ノダあい)
19 きんさった られた(広島ヒロシマベン?) 秋祭アキマツりようきんさったとハハる(岡村オカムラ
20 きいさい るように(広島ヒロシマベン?) きいさいとハハばれてカキもらう(栗田クリタモミヨ)
21 ぐすねる タオれる 機嫌キゲンワルいことも えしばかりにぐすねイネ一枚イチマイ白松シラマツきみえ)
22 けつらかあた 蹴飛ケトばした 毛糸ケイトタマけつらかあたマゴう(ナカホンアキ
23 こける タオれる ようこけるいの日々ヒビなりボンムカう(中野ナカノツネ
24 こばめる チイさくマルめる 糂粏モチこばめてマイシン涅槃ネハン(桑原千年)
25 こけた タオれた・コロんだ アラシあとこけた紫苑シオンこし(阿川アガワチヨ)
26 こまい チイさい こまいもそにしていろはかるたとる(藤井フジイみさよ)
27 こんちゅう このアイダ こんちゅうのマツりのヨル失敗シッパイ談(白松シラマツきみえ)
28 こねら 二十日ハツカネズミ ムシしぶるクスリにたまげたこねらたち(木村キムラチョククマ
29 ごんごな 大変タイヘンな・フトいの意味イミ 長雨ナガアメごんごないもちヒロがりて(伊藤イトウトラサン
30 ごっぽう ひどく ハルアメやごっぽうれたとノキによる(クロサワマツ
31 ごつに ひどく ニワ掃除ソウジごつにサムいとクチに(木村キムラトモスス
32 ごつごっぽう ひどくの強調キョウチョウ ごつごっぽうにサムアサだたきしろ(ナガヤチ
33 さで すべて 全部ゼンブ ひどく サルたりさでられるハタケのイモ
34 しんだもち 新涅槃の家・寺に持っていくモチワラビをつきぜてウエ小豆アズキをまぶした団子ダンゴ 糂粏モチこばめてマイシン涅槃ネハン(桑原千年)
35 しんどい ツラい (大阪オオサカベン?) 田植タウトキやれしんどいとコシせ(阿武儀一)
36 しわくみ(だ) ツネミズカワかない アキトキアメカワくことなくしわくみ伊藤イトウみのる)
37 しんきな 退屈タイクツな・ものサビしい アキアメやしんきな一日イチニチじこもり(金子カネコ良一リョウイチ
38 しのと 一日中イチニチジュウたらないカゲ 一日イチニチチュウけずしのとの霜柱シモバシラ藤井フジイみさよ)
39 しご 手入テイ ハタケしごアセばむホド小春コハルかな(木嶋キジマます
40 しぶる す コロ ムシしぶるクスリにたまげたこねらたち(木村キムラチョククマ
41 じら 強情ゴウジョウをはる・けのない 日焼ヒヤけしてじらマゴのいとおしく(野田ノダあい)
42 じょう たくさん じょうに松茸マツタケフクロオモくなり(白松シラマツきみえ)
43 芝居シバイ ムラでする芝居シバイ 芝居シバイ身振ミブ稽古ケイコイネカゲ白松シラマツきみえ)
44 じるい ぬかるんだ 梅雨ツユれにじるいミチナドアソぶ(村瀬ムラセミズ
45 スクモ 籾殻モミガラ(もみがら) ウスきにスクモばかりの不作フサクかな(阿武アブ儀一ギイチ
46 そうけ 竹製タケセイのざる・「ぞうけ」とも ダイそうけフユハタケアゼく(シオ多美子タミコ
47 そにする 一緒イッショにして こまいもそにしていろはかるたとる(藤井フジイみさよ)
48 ぞんじより わがまま ぞんじよりうなと祖母ソボクリクバり(吉岡ヨシオカサト
49 たまがす 熱湯ネットウをかけ灰汁アク方法ホウホウ トツヨメワラビたまがすこつオシえ(桑原クワハラセントシ
50 たまげる オドロ ムシしぶるクスリにたまげたこねらたち(木村キムラチョククマ
51 だやだし ハル耕作コウサクウマヤから シュッしのウシあばれてヨワりけり(桑原千年)
52 ダイトウ(だいがら) コメムギをつく木製モクセイ器具キグ ダイトウみてモチ農業ノウギョウマツ塩見シオミ多美子タミコ
53 ちびっと スコ この小菊コギクちびっとアキにつかさんせ(栗田モミヨ)
54 ちゅうにまあ なんとまた ちゅうにまあ日焼ヒヤけしカオミズカガミ松田マツダトクオトコ
55 ちびっと スコ イネりてちびっとコシイタむなり(村瀬ムラセミズ
56 つかさんせ ください この小菊コギクちびっとアキにつかさんせ(栗田モミヨ)
57 てねる タバねる タケやねにてねるおどろも冬支度フユジタクシオ多美子タミコ
58 てご 手伝テツダ 来合キアわせてカキカワむくてごをする(マンクラハル
59 とう ハヤく・とうに=(すでに) とうきて今日キョウ草刈クサカりのカマぐ(伊藤寅三)
60 とれやく ワラツカ 渋柿シブガキもとれやくのナカジュクしけり(阿武儀一)
61 トリ 背負セオカゴ トリをかろうてソマオンナのつばなミチ三浦ミウラマコト
62 トウ 脱穀ダッコクした穀物コクモツカラチリける装置ソウチ れかかる唐箕のオトのここあそこ(木嶋キジマます
63 はしから 次々ツギツギ 草餅クサモチのはしからりぬ沢山タクサン窪田クボタマサコ)
64 はしかいい ハダがむずがゆい・いらいらする カゼきのわりイネこぎはしかいい(藤井フジイみさよ)
65 晩方バンガタ(ばんがた) 夕方ユウガタ・たそがれどき 晩方バンガタキャクあり胡瓜キュウリもぐ(中野ナカノツネ
66 ばんげ 夕方ユウガタ・たそがれどき ムギいて畦道アゼミチいそぐばんげかな(窪田クボタまさこ)
67 ひるまま 昼食チュウショク ひるままをべて仕事シゴトりかかる(福江フクエイトヨ)
68 ひわる たわむ ユキりてタケひわりけり背戸セドヤマ野田ノダあい)
69 ひやこる 大声オオゴエ いちごをサガしてひやこるがきのコエ(阿武儀一)
70 ひとくされ びしょ ホンりとなりてイネけでひとくされ(藤井フジイみさよ)
71 びいびい サカナ 幼児ヨウジ言葉コトバか? びいびいをじょうにりたり梅雨ツユミズ藤村フジムラゼン衛)
72 ほうくり 春蘭シュンラン ほうくりのイロあせてニワスミ福江フクエイトヨ)
73 ほうばる べる ひもじさにナドアマカキばかりほうばりて(阿武アブイチ
74 ほろける タオれる・コロ クリヒロいほろけまいぞとコエをかけ(岡村津也)
75 ほろけた ちた トリてほろけしカキフタつ(阿川アガワチヨ)
76 ほうたらがあて 放置ホウチして クサカマほうたらがあてシカられし(木村キムラチョククマ
77 ぼうぼら カボチャ ぼうぼらのナオ作業サギョウトシす(福江フクエイトヨ)
78 マメごんのう サヤからマメ作業サギョウ ひねもすをマメごんのうにフユぬくし(シオ多美子タミコ
79 みてない カラにならない アキマツりみてないサケをまたつがれ(金子カネコ良一リョウイチ
80 みてゆく なくなっていく みてていく 雑煮ゾウニのみてゆくなり正月ショウガツ窪田クボタまさこ)
81 めっぽう 予想ヨソウ以上イジョウ キノコりのめっぽうれたとせにし(黒沢孤松)
82 めげる コワれる カキえばにさわりめげもせず(シロショウト)
83 もぶれつく たくさんついた よりカキアカくもぶれつき(木嶋キジマます
84 やねこい ムズカしい・とてもツラ 冬山フユヤマのやねこいこりでカタがこり(伊藤イトウトラサン
85 ゆるい 囲炉裏イロリ ゆるいハシ(ばた)大鍋オオナベカコヒザ小僧コゾウ木嶋キジマます
86 よう たびたび・何度ナンド ようこけるいの日々ヒビなりボンムカう(中野ナカノツネ
87 らつしやなあ さで(ひどく)らかすこと 夏休ナツヤスらつしやなあと祖母ソボこぼす(三浦眞佐子)
88 わじける れる クリヒロいわじけてちしいがをむく(金子カネコ良一リョウイチ